2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K12652
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
小山 敬晴 大分大学, 経済学部, 講師 (00633455)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 労使自治 / 公序 / 労働法 / 労働組合 / 団体交渉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、労働法規範において、法律の規制領域と労使交渉による決定可能領域の分配問題について、近年のフランス労働法改革を素材に検討するものである。研究実施計画としては、フランス労働法改革に関する文献の読み込み・分析をおこなったうえで、現地調査を行い、理論面・実態面の双方から労働法改革の評価をすることにより、上記課題についてのフランスの動向と現状を明らかにする、という手順により研究を行う。 本年度は、これまで法律の規制領域が広く、労使交渉による決定可能領域についても、法律が厳格に定めていたフランスにおいて、法律による規制を最低限にとどめ、労使交渉の領域を拡張することを目的として行われた、2016年・2017年労働法改革に関する基礎資料・文献の収集と分析を行った。本年度の研究において明らかになったことは次のとおりである。 2016年の労働法改革においては、フランス労働法典全体を改正し、最低限の公序規定、労働法規制の中心となる団体交渉領域、補充的法律規定、の三層構造に組み替えることが提案されていた。しかしながらマクロン大統領就任以降の2017年労働法改革では、このような労働法典の改革を行う方針が廃止され、この三層構造への組み換えは、一部の領域にとどまることになった。その反面、2017年労働法改革の目的は、2016年段階で志向された法律の規制領域と労使交渉による決定可能領域の分配問題という課題から離れて、経済競争という文脈における労働法改正という色彩が強くなったことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フランスにおいて行われた2016年、2017年の労働法改革に関する資料の読み込みと分析を予定通り行うことができ、学会において研究成果を公表することもできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、2016年、2017年の労働法改革による法制度の分析を終えることができたが、この労働法改革の影響が実務において出始めているものと思われる。したがって、その影響に関する研究論文の読み込みと分析を行うこと、また可能であれば現地において実態調査をすることにより、労働法改革の現況を分析する。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた文献の調達に時間がかかり、年度内執行が困難となったため。当該金額は、次年度の文献費に充てる予定である。
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