2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12654
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
早川 雄一郎 立教大学, 法学部, 准教授 (80737221)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 競争法 / 忠誠リベート / セット割引 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、競争法が消費者保護において果たす役割の解明・体系化を目的としており、その際、企業の戦略的行動におけるより具体的な文脈に即して、どのような消費者利益がどのような態様で侵害されうるのかを類型化し、競争法による介入の当否を問うことを目指している。 以上の研究目的の達成に向けて、平成30年度においては、第一に、競争法上の評価をめぐって特に争いのあるいくつかの企業戦略について、どのような態様で消費者への不利益をもたらす場合に競争法による介入根拠を見出されるのかについての日米欧の比較法的考察を行った。具体的には、いわゆる忠誠リベートの問題に関し、欧州のインテル事件司法裁判所判決以後の議論や、最新の欧州委員会の事例(クアルコム事件、グーグル事件)についての調査・検討を行ったほか、米国における最新の議論の調査・検討も行った。それらに関し、日本経済法学会において個別報告を行い、有益なコメントも得られた。また、いわゆるセット割引に関する日米欧の競争法上の議論に関する検討をとりまとめた論稿も公表した。 また、第二に、平成31年度に計画していた「無料」サービスをめぐる不公正取引の問題について、平成31年3月に東京経済法研究会での研究会報告の機会を与えられたため、前倒しして研究に着手した。関連する米国・FTCの先例やFTCが公表している資料を調査、整理し、また、研究会において他の経済法研究者から有益なコメントを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究1年目であるところ、当初計画していたとおり、競争過程への害の有無が自明ではないため競争法上の評価に争いの多いいくつかの企業戦略について、日米欧の先例や議論を調査、深化させることができた。とりわけ、特に論争の多い忠誠リベートとセット割引に関する研究成果を公表することができた。これは、ほぼ当初計画どおりの進捗状況であり、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、第一に、平成30年度に実施した学会個別報告について、コメントを踏まえて議論をさらに深化させた論文の執筆・公表を予定している。第二に、平成31年度の研究計画に従って、米国・FTCの先例や議論に関する調査・検討を行い、米国の知見を踏まえつつ、無料サービスにおける不公正取引に関する本格的な研究を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた書籍の刊行が遅れたため、次年度使用額が発生した。当該書籍を購入する必要があり、平成31年度助成金と合わせて計画通りの支出を予定している。
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Remarks |
[研究発表]早川雄一郎「インターネットにおける消費者保護と競争」(東京経済法研究会、2019年3月)
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