2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12657
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐伯 昌彦 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (10547813)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 少年法 / 世論 / 応報的公正 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、少年法に関する世論の規定要因を探求することを目的とする。そして、本年度は、次年度に実施するアンケート調査で用いる質問紙の内容を確定する作業を遂行することとしていた。その目的に即して、少年法の世論をどのようにくみ取るべきかについて、日本だけでなくアメリカにおける先行研究についても参照しつつ検討を深めた。さらに、少年法に関する世論の問題に限定せず、広く世論調査に関する関連研究を渉猟し、世論という研究対象にどのようにしてアプローチすべきかについて考察を深めた。 ここで、本調査は、少年法に対する人々の世論を捉えるだけでなく、それがどのような要因によって規定されているかについても探求することで、少年法に対する世論の意義を明確にしようと試みるものである。したがって、世論がどのような要因によって規定されているかについても仮説を立て、必要な要因についてあわせてデータをとる必要がある。本調査での主たる仮説はすでに研究計画において詳述しているが、その方針に即して、関連する先行研究について精査したうえで、今回の調査の質問項目の検討を行った。具体的には、応報感情の規定要因や、人々の自由意思に関する信念の在り様、そして人々の属性に関する諸変数が政策上の選好に及ぼす影響等についての関連研究を参照し、今回の調査において採用すべき質問項目の検討を行った。 さらに、少年法を巡っては現在法制審議会においてその改正の適否について検討がなされており、本調査の実際的意義を示すことができるよう、少年法に関する議論についても、最新の議論状況のフォローに努めた。 以上を踏まえて、本年度は、次年度において実施するアンケート調査で用いる質問項目の確定に向けた作業を進めた。若干、最後の詰めの作業を次年度に積み残したが、次年度の調査実施をスムーズに行えるには十分な程度にまで調査項目の検討を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究実績の概要において示した通り、当初の研究計画においては本年度中に質問項目を確定することとしていた。しかしながら、本年度においては、そのための作業を大幅に進捗させることができたが、なお質問項目の確定までには至らなかった。しかしながら、当初の研究仮説に即して、概ね調査項目として必要な事項は特定でき、またそれらの事項についてどのように尋ねるべきかについても、大部分の検討は終えられている。したがって、本年度積み残した作業は、概ね完成した質問項目について最後の仕上げを施すことである。その意味で、進捗状況は「やや遅れている」を選択したが、本年度の研究実績の概要においても記載したように、この遅れは、次年度の研究計画の進行を遅らせるほどのものではないと考えている。調査項目の最終検討を次年度の早い時期に終えることで、次年度中に予定通り調査を実施し、その第一次的な分析まで終えることはできると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに記載した通り、本年度中に質問項目を確定することができなかった点で、本研究は、当初の研究計画に比べ、若干遅れている。しかしながら、質問項目の確定のために検討すべき事項は相当に絞られており、これについては次年度の早い時期に検討を終えられるように努めたい。質問項目の確定が以上のように次年度の早い時期に達成できれば、研究計画に記載した通り、次年度中に調査を実施し、得られたデータについて第一次的な分析を行うことは可能である。したがって、現時点において大きく研究計画を変更する必要はなく、当初の研究計画通りに調査を遂行し、またそのデータの第一次的な分析を踏まえて、学会等において積極的に報告を行っていく予定である。
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