2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12657
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐伯 昌彦 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (10547813)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 少年法 / 少年年齢 / 世論 / 刑事政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,当初の計画通り調査票の設計を完成させたうえで,ウェブ調査の方法で調査の実施を行った.昨年度,調査票の設計の進捗にやや遅れがみられたため,2019年度も引き続き調査票の確定に向けた作業を進めた.そのため,調査の実施時期にやや遅れが生じたものの,当初の計画通り,少年法の実務に関与している弁護士の助言を得つつ調査票を完成させた.そのうえで,2019年度中に調査を実施した.具体的には,2019年11月下旬頃に,900サンプルの回収を目標値としてウェブ調査を実施した.最終的に,調査対象と条件が合わなかったサンプルのみを除外したうえで989サンプルの回答を得た. 調査データの納品を得てから,当初予定していた分析を一通り行った.その分析を踏まえた初期的な報告については,すでに2019年度中に開催された国際学会(Asian Law & Society Associationの第4回大会)にて報告した.そこでは,調査の概要に加えて,当初の仮説に即した分析結果について報告を行った.とりわけ,要因計画法に基づき調査票に組み込んでいたシナリオ調査の部分については,操作した実験条件による影響について検証した.また,少年法の適用年齢の引下げについての一般的な世論の分布状況と,シナリオ調査の手法で回答を得た特定事件における少年に対する人々の受け止め方の関係などについて分析を加え,両者の関連が必ずしも強くないこと等を報告した. また,最終年度となる次年度(2020年度)には,ここでの調査結果を詳細に取りまとめ,そこから引き出される政策的含意の抽出に努める予定である.その作業のために,国際学会での報告後も引き続き分析の精緻化を図った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度はやや作業に遅れが生じていたが,今年度は当初の計画通り調査を実施し,その初期的な分析およびその報告まで行うことができた.また,次年度に向けた準備も一定程度勧められたことから,以上の自己評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,本研究課題の最終年度であり,分析をより精緻化したうえで,ここでの調査から得られる政策的含意について論じ,その内容を各所で報告することを予定していた.基本的には,この方針に即して研究活動を行いたいと考えている.もっとも,新型コロナウィルスの関係で,学会報告自体は困難となることが予想される.すでに2020年度に参加予定であった国際学会への参加は現実的ではなくなっており,当初予定したように口頭での学会報告を行うことは困難であろう.もっとも,研究成果の公表手段は学会報告だけに限られないので,その分早期の論文化を目指すなど,その時点での状況に応じて効率の良い公表手段を検討し,可能な限り積極的に研究成果を公表していくことを目指すこととする.
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