2022 Fiscal Year Annual Research Report
Legal Restrictions on Obtaining and Using Suspect Statements
Project/Area Number |
18K12658
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
川島 享祐 立教大学, 法学部, 准教授 (90734674)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自白法則 / 証拠法 / 任意性 / 直接主義 / 任意処分 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,①自白法則がいかなる理論的構造を有しているのか,及び,②いかなる判断基準の下で自白の証拠能力が判断されるのか,という問題を主たる検討対象とするものである。今年度は,昨年度までの研究成果に対する批評を得たうえで,①の検討をさらに掘り下げるために,広く「被疑者供述の獲得・使用に関する法的規制」という観点から,関連する諸原則の検討を行い,また,②の検討の必須の前提として,自白法則の判断基準としても用いられる「任意性」という概念が,自白法則以外の場面でどのような機能を果たしているかについての検討を行った。 まず,今年度は,昨年度出版した著書に対する他の研究者からのフィードバックを得た。 次に,被疑者・被告人の公判外供述を公判に顕出する際のルールとされている伝聞法則の検討を行った。伝聞法則については,それが存在する刑訴法と,存在しない民訴法とを対比することによって,その存在理由や前提にある政策判断を分析した。その成果の一部は,『法学教室』に掲載された対談において公表した。 また,今年度は,ドイツの直接主義についての調査も行った。その結果,法原理としての直接主義と実定法上の規定としてのドイツ刑訴法250条の双方につき,その法的性質を明らかにすることができた。また,その際には,我が国の伝聞法則とドイツの直接主義との比較検討も行った。この研究成果は令和5年4月より『法律時報』において複数回にわたり公表する予定である。 最後に,今年度は,「任意性」という概念を明確化するために,警職法及び捜査法上の任意処分の内実の検討を行った。その結果,これまで強制処分の補集合とされてきた任意処分も,相手方の同意・承諾を前提とするかといった観点から類型化が可能であり,それにより,任意処分の適法性判断もより明確化できることを発見した。この研究成果は,『法律時報』上で公表した。
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