2020 Fiscal Year Annual Research Report
Insanity Defense in France
Project/Area Number |
18K12661
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
徳永 元 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (50782009)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | フランス刑法 / 限定責任能力 / 責任主義 / 刑事精神鑑定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①フランス法という新しい素材と、②限定責任能力という複合的な問題を対象とすることにより、わが国の責任能力制度の発展に寄与することである。 この目的の下、2020年度は、2018年度に主に検討したフランスにおける限定責任能力の展開、2019年度に主に検討したフランスの刑事司法手続きにおける被保護成年者(わが国の成年被後見人等に相当)の権利保障および刑事精神鑑定の現状を総括し、フランスの限定責任能力制度の全体像を検討した。また、フランス刑法からの示唆が、わが国の刑法学に具体的にどのようなかたちで活用できるかを模索した。 具体的な研究活動としては、フランスでの現地調査が新型コロナウイルスの影響により実現しなかったため、文献調査を行うにとどまった。また、責任能力および訴訟能力が争われた最近の裁判例について詳細に検討し、研究会報告を行った。そのほか、刑事司法手続きにおける権利保障との関連では、知的障害や軽度の精神障害といった問題を抱える被疑者・被告人のための、捜査段階でのサポートの実情を把握するため、複数の弁護士にインタビュー調査を行った。なお、同調査は、本研究代表者が参加している別の研究プロジェクトが主たる実施主体であり、研究倫理審査などもこちらの手続きで行われている。このインタビュー調査からは、弁護士と福祉職との間には職業倫理の相違があり、いずれも対象者の最善の利益を目指すとしても、方向性と方法が衝突する可能性があることが明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)