2019 Fiscal Year Research-status Report
てんかんに起因する自動車運転死傷事故を防止するための効果的な方法の研究
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18K12662
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
内山 真由美 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (10580128)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | てんかん / 自動車運転死傷行為処罰法 / 刑事法 / 障害法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来の刑事法学において研究が及んでいない医療や福祉の知見を取り入れ、てんかんのある人と家族の声を聴くことによって、自動車事故を防止するための立法の在り方の提示を目的とする。今年度は以下のことを行った。 公益社団法人日本てんかん協会の会員として次の活動をした。第42回てんかん基礎講座(7月23日、24日大阪)、「第32回てんかん総合講座」(8月10日福岡市市民福祉プラザ)、第46回全国大会(10月26日、27日三重)、第53回日本てんかん学会学術集会(10月31日、11月1日、2日神戸)に参加した。日本てんかん協会主催佐賀県支部市民公開講座「てんかん患者さんの笑顔のために」の司会を務めた(2019年9月29日佐賀)。このほか定期的に開催される佐賀県支部の定例会に参加して会員間の交流を深めた。 日本刑法学会第97回大会(5月25日、26日一橋大学)ワークショップ5「障害者の権利と刑事法」において、「てんかんと危険運転致死傷罪」と題して報告した。2019年度佐賀大学公開講座「みんなの大学」において、「高齢ドライバーと道路交通法~認知症、てんかん~(1)(2)」の2回の講義を行った(6月19日、26日)。 本研究においては、てんかんをはじめとする疾病や障害のある人を取り巻く法制度の検討を進めている。今年度は、第62回日本病院・地域精神医学会総会沖縄大会での理事会企画シンポジウム「身体拘束のあるべき姿に向けて」における「刑事法学から精神科病院における身体拘束を考える」とする報告(10月11日、12日沖縄)と、日本障害法学会主催の第4回大会(11月16日田園調布学園大学)「シンポジウム1 福祉・刑事司法と障害法の課題」における「刑事司法と福祉の連携の問題~特に検察庁による『入口支援』をめぐって~」のコメントが研究の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本てんかん協会全国大会(三重)において全国の会員と交流することができたほか、日本てんかん協会佐賀県支部及び福岡県支部の講座や定例会において、定期的に会員のみなさんと交流できた。こうしたことから、てんかんをめぐるさまざまな事柄について伺うことができている。 日本てんかん協会全国大会(三重)や日本てんかん学会学術集会(神戸)に参加したことで、てんかんを取り巻く国内外の現状について、当事者や医師をはじめとする実体験から学ぶことができた。 刑法学会のワークショップや障害法学会のシンポジウムにおいてコメントの機会をいただき、特に後者においては刑事法以外の法領域の先生方、実務家と議論することができた。これにより、障害法をめぐる論点がより明確になった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も、研究の目的を達成するために以下の活動を推進する。 引き続き公益社団法人日本てんかん協会の会員となり、協会が発行している情報誌「月刊 波」を購読する。2020年10月8日~11日に福岡コンベンションセンター福岡国際会議場で開催される第13回アジアオセアニアてんかん学会(AOEC)に参加する。日本てんかん協会佐賀県支部の定例会に参加する。これら活動により今後も、てんかんのある人と家族、医療や福祉、教育等の分野の専門職や関係者と交流を深めることでてんかんについての知見を深めたい。 そして、当初の予定では、てんかんのある人と家族に自動車運転死傷行為処罰法の影響が生じているかについて明らかにするため、国内のてんかんのある人を取り巻く医療と福祉の現実についてヒアリングを行うとしていた。コロナウイルス感染症の影響を見ながらヒアリング方法を検討し、実施する。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた書籍を年度内に購入できなかったため。
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