2021 Fiscal Year Annual Research Report
3 Types Self-Determination on Withdrawing or Withholding of Life-Sustaining Medical Treatment
Project/Area Number |
18K12668
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Research Institution | Japan Coast Guard Academy (Center for Research in International Marine Policy) |
Principal Investigator |
新谷 一朗 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), 国際海洋政策研究センター, 准教授 (40532677)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 治療中止 / 終末期医療 / 尊厳死 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる令和3年度は、人工延命措置を拒否する意思表示のうち、意思決定能力を喪失した後に代行判断を行う者を指名しておく方法、アメリカにおけるヘルスケアのための持続的代理権のあり方に焦点を当てた。 ヘルスケアのための持続的代理権に関する立法をアメリカのすべての州について検討したことにより、本来は患者が事前に指名する代理権であったものが、指名がない場合には法律上の規定により(典型的には配偶者、成人した子、親、兄弟姉妹の順で)このような権限が与えられていることが判明した。そこで、このような患者の自己決定を根拠とする代理人とそうではない代理人を区別することで、その中止の可否について議論のある人工的水分・栄養補給法の問題への分析に展開した。 そもそもアメリカにおいてはカトリックの教義の影響で、人工的水分・栄養補給法を中止することへの禁忌が見られ、この中止を禁止する州も1980年代には多く見られたが、現在では、すべての州においてこの中止が認められている。ここで、先の患者の自己決定を根拠とする代理人とそうではない代理人との区別が法的な意味を持ち、前者については人工的水分・栄養補給法を中止する権限を与えるが、後者には与えない、とする立法例を有する州が存在することに着目した。このようにして、自己決定権を根拠において代理人の性質を区分することで、このような問題点の解決にも資することを「終末期医療における人工的水分・栄養補給法(AHN)の特殊性についてーアメリカ合衆国の議論と立法を素材としてー」『高橋則夫先生古稀祝賀論文集[下巻]』(成文堂、2022年)525頁において提示することで、本研究の総括とした。
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Research Products
(1 results)