2020 Fiscal Year Research-status Report
Research concerning the adoption of minors -- with a focus on adoption of a stepchild
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18K12671
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
ROOTS MAIA 東北大学, 法学研究科, 准教授 (20754550)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ステップファミリー / 継子養子縁組 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度には主に①イギリスの継子養子縁組をめぐる裁判例の研究及び②ドイツ法・イギリス法・日本法の比較を行った。 ①イギリスでは日本と違って継親が継子と養子縁組をしなくても継親への親権・監護権(parental responsibility、以下PR)の付与が可能である(現行法上はPRやchild arrangements order等が利用できる)。このこと、及び、イギリス法においてあらゆる養子縁組がいわゆる完全養子であることから、継親により養子縁組の申し立てがあった際に、裁判所が、継子養子縁組のかわりに以上のような継子養子縁組のオルターナティブを命じるべきかについて、裁判例において様々な解釈がみられる。具体的にどのような場合に継子養子縁組を容認すべきかについても同様である。その背景・理由として、(ア)立法者の方針の変遷、(イ)継親がPRを得るために利用できる法的オルターナティブの変遷等があげられることを明らかにした。現在、裁判所が継子養子縁組を容認すべきかどうかを判断する際に、個別具体的事案において、child arrangement order等の方が継子養子縁組より適切であるかどうかに加え、子とその別居実親・その親族との関係(それまでの監護・交流の実績等)、当該ステップファミリー及び継親子関係の実態、子の意思、継子養子縁組の動機等を考慮していることも分かった。 ②3か国法の比較を通して、日本法への主な示唆として、日本においても継子養子縁組の法的オルターナティブを用意する必要があることを改めて確認できた。更に、どのようなオルターナティブを用意すべきかについて検討する際に、(ア)ステップファミリーが多様なであること、(イ)継親と実親の関係が破綻する可能性も十分あり得ることを視野に入れ、考慮する必要があるという示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大のため、当初計画していたドイツとイギリスでの資料収集や現地でのインタービュー等ができなかった。そのため、ドイツ法及びイギリス法の研究が若干遅れた。更には、2020年の夏に、本研究の成果を国際学会(8th Family Law and Children’s Rights Conference)で報告する予定であったが、学会の開催が延期されたため、学会で得られるはずだった国際的な視野からのフィードバックとする予定であった議論ができなかったため、研究成果のまとめが若干遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度においては、これまでのドイツ法・イギリス法の研究の成果、および比較研究の成果(日本法への示唆)をまとめ、国内外の学会や雑誌で発表する予定である。当初は、2020年度より延期となった8th Family Law and Children’s Rights Conference (2021年7月開催予定)において、報告することが確定していたが、学会の開催形式が、現地開催からオンライン開催となったことにともない、学会の当初のプログラムが大幅に縮小され、本研究の代表者の報告もプログラムから削られた。代替として、国内学会ではあるが、日本離婚・再婚家族と子ども研究学会の第4回大会(2012年10月開催予定)で、本研究の研究成果の一部について報告する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では、海外(ドイツ及びイギリス)での資料収集、更には、2020年の夏にシンガポールでの国際学会発表を予定していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、海外での資料収集は中止となり、シンガポールでの学会発表は延期(2021年7月にオンライン開催へ変更)となったため、次年度使用額が生じた。 海外での資料収集ができなくなったため、これまで行った文献研究を補いために、ドイツ及びイギリスの資料を海外から追加で購入する必要が生じた。 なお、2020年度に現地(シンガポール)で参加する予定であった国際学会が2021年にオンライン開催となったため、使わなかった旅費分を返金する予定である。
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