2020 Fiscal Year Research-status Report
会社の違法な措置に対する株主の権利行使手段の検討-ドイツ法との比較
Project/Area Number |
18K12675
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
木原 彩夏 立命館大学, 経済学部, 准教授 (70807495)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 株主の権利行使 / 会社法 / 法令定款に従った会社経営を求める権利 / 株主の経営への参与 / 株主保護と企業利益とのバランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、法令定款に従った会社経営を求める株主の権利に基づいた、株主の経営への関与は、どの程度まで正当化されうるのか、を考察するものである。日独の比較法研究等の手法により、違法な会社の措置に対する株主の権利行使手段にはいかなるものがあるか、株主の保護のみならず会社の正当な利益の保護とのバランスを考えた上でそれらはどのように行使されるべきか、を明らかにすることが目的である。 研究3年目にあたる今年は、日本私法学会でこれまでの実績を報告するとともに、その場での質疑応答からフィードバックを受け、今後の研究に生かしていくことを一番の重大事であると考えていたが、新型コロナウィルスの影響により学会自体が中止となり、これら学会報告から得られる知見は得られなかった。 そのため、今年度においては、研究計画を一部変更し、これまでの研究計画にのっとって、すでに収集してきた資料の分析検討を中心とした研究活動を行った。またこれに加え、新型コロナウィルスの発生によって研究対象である株主の経営への関与についても影響が生じるかについての検討を行った。具体的には、新しい生活様式にのっとった株主総会の在り方などについての議論をフォローし、今後の株主の経営への関与の在り方に影響が及ぶ可能性がある事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究機関の移動があることについては当初より想定されていた事態であったが、その移動と時を同じくして新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が発生されたこと及びその後の新型コロナウィルスの流行による移動制限等当初予期していなかった事態が生じた。そのため、研究の進捗に大変な遅れが生じている。とりわけ、学会等が中止になったこと、資料収集に支障が生じたこと及び新型コロナウィルス関連での研究以外の業務の肥大化等によって大きな影響が生じている。 これらのため、研究活動に甚大な影響が生じ、当初の研究計画通りの進捗には追い付いていない。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度より進めてきた、ドイツ法における決議の瑕疵法制についての研究を引き続き進めていく予定である。ただし、今年度分の進捗の遅れが著しいため、残念ながら次年度においてその遅れを全て取り戻せる見込みは薄いと思われる。また、新型コロナウィルスの流行がいまだ落ち着いていないことから、研究以外の業務の肥大化や、調査研究上の困難等、次年度の研究にも悪影響が及ぶ可能性があると考えている。研究計画を状況に応じ随時見直していきつつも、最終年度である次年度末に研究期間の延長を申請することも選択肢の一つとして考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの流行により、予定していた学会が中止となり、また各種研究会等がWEB対応になった。それに加え、各種施設の立ち入り制限や、コロナウィルス蔓延に鑑みたことにより資料収集等での交通も大幅に減った。そのため、調査研究のための交通費に予定していた額の未使用が発生した。さらに、研究の遅れによる当年度の未使用分が発生している。出席を予定していた学会には翌年度出席することにより予算を使用する。また研究の遅れによる未使用については、翌年度に今年度予定していた研究分と翌年度分の計画をあわせて進めることにより使用する計画である。
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