2019 Fiscal Year Research-status Report
デリバティブ取引に対する「被保険利益の要件」の要否
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18K12680
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
嘉村 雄司 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 准教授 (90581059)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | デリバティブ / 保険 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「デリバティブ取引にも保険における『被保険利益の要件』のような契約法的制約が必要か」という問題について、アメリカの法制度・判例・学説等を参考にした上で、わが国における解釈論・立法論を提言することを目的とする。 令和元年度は、被保険利益の要件(保険法3条)と実質的に同等の制約をデリバティブに課すための手段として、「保険における約款規制と同様の規制をデリバティブに課すことの可否」を立法論的に検討するものである。すなわち、保険においては、保険業の免許に際しておよびその後の変更に際して認可が必要であるという保険約款の監督規制(保険業法4条2項3号・4号、123条1項)が存在しており、保険契約の内容に直接関連する規制が保険業法におかれている一方で、デリバティブにおいては、このような規制は存在しないという不均衡が存在する。 本研究は、このような問題に対して、①旧証券取引法時代のデリバティブ規制の改正史とそれをめぐる学説の議論を調査し、わが国の議論の現状と課題を導き出した。その上で、②アメリカにおけるデリバティブ規制の変遷の調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載した通り、アメリカ法・日本法の調査・検討が順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、ISDA(国際スワップ・デリバティブズ協会)の活動の有り様および自主規制の内容がデリバティブ法制に与える影響について検討する。その際には、これまでと同様に、アメリカにおける議論を参考に検討を進めることとしたい。
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Causes of Carryover |
令和元年度においても、アメリカでの調査・資料収集について、日程の都合により、当初予定していたよりも短い期間しか行うことができなかった。令和2年度は、繰越研究費を用いて、予定よりも長い期間、アメリカでの調査・資料収集を行う予定である。
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