2018 Fiscal Year Research-status Report
フランス会社法の「会社契約」概念にみる組合・会社・社会
Project/Area Number |
18K12688
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石川 真衣 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (00734740)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | フランス会社法 / 会社契約 / 株式上場 / 上場基準 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①フランスにおける株式の上場基準に関する研究、及び②フランス会社法における「ソシエテ契約」概念の意義に関する研究を進めた。 ①フランスにおける株式の上場基準に関する研究 19世紀のフランスにおける株式会社による証券市場の活用についてはわが国において必ずしも多くの研究がなされてきたわけではない。この時代は証券市場及び証券取引の仕組みが最も大きく発展し、現在の市場取引規制の基礎が形成された重要な時期である。株式会社が大規模化するにあたり不可欠であった証券市場の活用実態を探るために、公認仲買人組合による株式の上場判断のプロセスに着目した。そこでは、明確な基準として形成されたわけではないものの、株式を上場させるにあたり重視される要素が株式会社形態の普及とともに変容していることを確認できた。本年度は、パリ公認仲買人組合における株式の上場判断要素に関する検討をまず行い、その成果についての学会報告(証券経済学会)を2018年12月に行い、またその内容の一部を論文として2019年1月に公表した。また、本年度は、現地調査を行い、パリ以外の公認仲買人組合の資料に接することができたほか、フランス経済史を専門とする複数の研究者に面会する機会を得た。 ②フランス会社法における「ソシエテ契約」概念の意義に関する研究 株式会社の基礎は「ソシエテ」にあるとされるが、「ソシエテ」は民法典に定められる小規模な組合を前提とするものである。「ソシエテ」概念を株式会社の基礎とすることの意味を探るために、「ソシエテ契約」の意義に関する本格的な検討を始めた。フランス民法における契約に関する議論や近時の改正動向にも目を向けながら、フランス会社法における「ソシエテ契約」の特徴を浮き彫りにすることを目指している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、予定より多くの資料を入手することができたほか、証券経済史の専門家に面会したことにより、検討対象とした時代の概説書についての豊富な情報を得ることができた。次年度は、これらを入手することから始めたい。また、学会報告及び論文の公表を早い段階で行うことができたため、今後の検討課題も明らかになった。 フランス会社法については、現地調査を行った際に、最新の文献を入手することができたほか、「ソシエテ契約」の意義に関する論稿の執筆に着手できた。これについては、次年度中の公表を目指している。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度開始した研究を継続して行う予定である。 ①フランスにおける株式の上場基準に関する研究 これまで行った検討は19世紀を中心としたものであり、且つパリ市場を主に取り扱ったため、今後は地方の取引所における上場審査の実態を確認し、20世紀以降の発展に関する検討を行うことを予定している。この検討を通じて、フランスにおける大規模公開会社の実態を明らかにし、それが株式会社法制の発展とどのように関わるかを検討することを考えている。 ②フランス会社法における「ソシエテ契約」概念の意義に関する研究 フランスにおける「ソシエテ契約」の特徴を明らかにし、「ソシエテ契約」を中心とした法理がいかに適用・応用されるかを包括的に検討することを予定している。
|