2020 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of Unfair Commercial Practices and Private Law Theory
Project/Area Number |
18K12693
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
カライスコス アントニオス 京都大学, 法学研究科, 准教授 (60453982)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 不公正な取引方法 / 通信取引 / オンライン・プラットフォーム / 個人情報保護 / 持続可能性 / 消費者市民社会 / EU消費者法の現代化 / 脆弱な消費者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な目的は、不公正な取引方法の規制と私法理論の在り方や関係について考察することにある。初年度である2018年度は、不公正取引方法の規制に関する問題点等の整理を行い、2019年度は、それまでの研究の一応のまとめとして『不公正な取引方法と私法理論』と題する書籍(単著)を出版した。そして本年度は、より個別的な領域について考察を進めるとともに、アジアにおける関連する制度や展開も研究対象とした。その際、消費者保護のみならず、消費者市民社会、エシカル消費や持続可能性といった側面の意義も念頭に置きながら分析を進めた。 前記のような研究の全体像が明確に表れている業績としては、共同執筆した消費者法の教科書『これからの消費者法-社会と未来をつなぐ消費者教育』と、消費者法判例百選に執筆したコラム「海外消費者法の動向」が挙げられる。 前述したより個別的な領域としては、まず、不公正取引方法指令等を改正したEU現代化指令が加盟国法に与える影響および日本法に対するその示唆に注目して分析を進めた。また、オンライン・プラットフォームやデジタル化といった現象における不公正取引方法規制に直接または間接的にかかわる領域として、個人情報保護、電子署名、通信販売取引、不当条項や送り付け商法の規制等についても考察する機会を得た。さらに、近年不公正な取引方法による被害を受けることが増えつつある若者や高齢者といった主体に焦点を当て、問題点や本来あるべき規制の姿について分析した。特に後者の若者については、2021年消費者法学会で、それまでの研究の成果を中心に報告を行う予定である。 前記の事項については、いずれも、論文や報告等の形で定期的に成果を発表することを心掛けた。加えて、消費者庁主催のシンポジウム等にも登壇する機会を与えられ、より実務的な観点から検討を加え、成果を発表すると同時に、研究方針について再考することができた。
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