2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12694
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小谷 昌子 帝京大学, 法学部, 講師 (80638916)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | インフォームド・コンセント / 医師の裁量 / 患者の自己決定 / 医療における共同意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はこれまでの研究成果を見直し、今後取り組むべき問題についての整理、資料収集等を行なった。そのなかで、本研究と関連があることとして、アメリカにおける診療ガイドライン(CPG)の医療過誤訴訟における位置付けを明らかにすべく、論文「メディカルプロフェッショナル・ネグリジェンスと診療ガイドライン」(帝京法学32巻1号1-40頁)を公表した。ここでは、医療過誤訴訟をプロフェッション外部からのコントロールと位置づけ、プロフェッショナルメディカルネグリジェンスの判断の基準設定に医プロフェッションがどのように関わってきたかという観点からみたとき、CPGsの機能も単なる合理的な証拠のひとつという位置付けを超えた意義を有しうることを確認した。すなわち、近年、CPGsは医師の注意水準の設定において重要なファクターとなっており、医プロフェッションの専門的行為に法というプロフェッション外部からの介入を行ううえで媒介的役割を果たしているということである。以上は、本研究課題が「個々の患者に対する診療の方針決定に対し、法的・非法的コントロールがなされるべきか」を明らかにすることを目的としていることから、重要な示唆となる。 その他、今年度は本研究課題に関する文献(主にアメリカのインフォームド・コンセント、共同意思決定に関する文献)の収集、整理および精読を行なった。 なお、本年度の研究費は主として、資料収集および最小限の環境整備費用(パソコン、プリンタートナー等消耗品の購入)に充てた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はこれまでの研究成果に基づく論文は公表できたものの、本研究課題に関する論文を書くことができず、資料の収集に終始してしまった。もっとも、次年度以降の研究成果発表に向けて準備は整いつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度も引き続き医療の方針決定において医師と患者がどのような関係にあり、またあるべきかを明らかにするため、インフォームド・コンセントに関する資料の分析を行ない、論文の執筆を進めたい。その際、研究会などでの報告や意見交換を行ない、より深い考察に基づく研究を遂行する。
|
Causes of Carryover |
遠方の研究会や学会への参加を見送ったため、旅費が発生しなかった。
|