2019 Fiscal Year Research-status Report
不利益分配を合意する-地方自治体における公共施設統廃合-
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18K12704
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
柳 至 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (20647341)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 公共施設等 / 統廃合 / 合意形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、近年の日本の地域社会における公共施設等の整備・見直しに係る合意形成の取り組みについてレビューし、公共施設等統廃合を合意する手段を明らかにするに際してどのような疑問があるかを整理した。これまでの公共施設等に係る合意形成の取り組みは、情報開示型、意見表明型、協働型など様々な形態のものが存在していた。こうした取り組みは、情報開示型のように行政から幅広い範囲の住民に対して情報提供するという一方向的なものから、意見表明型や協働型のように一部の住民と行政が双方向的な取り組みを行うものに分けることができる。その上で、公共施設等統廃合の合意に際して、前者の取り組みに対しては、こうした取り組みが統廃合の合意に結びつけることができる取り組みなのかという疑問があり、後者の取り組みに対しては、実際に取り組みに参加していない住民も含めた地域社会としての合意に結びつけることができる取り組みなのかという疑問がある。 次に、公共政策に対する受容意識に関する公正理論をレビューし、公共施設等統廃合を地域社会全体として合意する手段を検証する際の論点を整理した。検証するべき点は主に3点ある。1点目は、公共施設等統廃合に関する情報提供をすることにより、統廃合に合意する住民が増加するかという点である。2点目は、提供する情報の内容、さらにいえば統廃合案の内容の違いにより、統廃合に合意するかどうかが異なるかという点である。情報の内容としては、衡平性、公平性、必要性という異なる基準から公共施設等統廃合を説明するものが考えられる。3点目は、公共施設等統廃合の合意形成に際して双方向的な取り組みが存在することが、そうした取り組みに参加する住民や参加しない住民に対して、それぞれどのような効果を及ぼすかという点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地方自治体への調査を次年度に行うことになったが、調査設計などは順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に提示した論点について実証的に検証していくために、まずは地方自治体がどのような取り組みを行っているかを、より広範囲の地方自治体を対象とした郵送調査により明らかにする。
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Causes of Carryover |
パイロット自治体に対して聞き取りを行ったところ、担当職員が回答を行うのは夏が最適であるとのことがわかったため、本年度1月に行うはずだった地方自治体に対する郵送調査を次年度夏に行うこととしたため。
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