2023 Fiscal Year Annual Research Report
Problems of Democratic Consolidation in the American Deep South, 1976-1980
Project/Area Number |
18K12717
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平松 彩子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00803884)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 1965年投票権法 / 南部民主党 / アメリカ合衆国司法省 / 政党規則改革 / 民主化 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度には、アメリカ合衆国の深南部州地域において1965年投票権法を連邦司法省が執行した過程について、前年度に行った調査にもとづいて英語論文の執筆を進め、口頭報告を国内学会等で複数回行った。ジョージア州南西部のブラックベルト郡において司法省公民権局が行った、1964年以前の公民権法のもとでの投票権侵害訴訟のための準備捜査と、現地の有権者登録官との非公式な交渉の過程について、内部史料を用いてこれまで知られていなかった多くのことが新たに明らかになった。近隣の三州と比較すると、この地域に司法省は積極的に介入をしなかったが、その理由が単にジョージア州の郡の数が多く一つの郡の人口や面積が小さいといった行政単位の規模の点にあっただけではなく、訴訟準備や交渉のために現地に派遣された公民権局の法務官の個人の投票権についての考え方も影響していたことが判明した。以上の研究内容を投稿論文の原稿として執筆を進め、研究期間の終了直後に学術雑誌に投稿した。 研究を開始した当初は、マックガヴァン・フレーザー委員会が提示した民主党規則改革が南部州民主党において受容された過程と、その後1976年にジョージア州南西部から大統領として当選を果たした州知事のジミー・カーターの台頭、さらにカーター政権の制度的な不安定性を明らかにすることを予定していた。しかし初年の調査において、ジョージア州民主党の規則改革がカーター知事のもとで大きな反対を呼ぶことなく実施されたのに対して、ミシシッピーやアラバマでは特にブラックベルト郡の白人党幹部が党規則改革に強く反対したことが明らかになった。そこでこの差異がなぜ生じたのかを明らかにすることを優先し、1950年代末から60年代初めにかけて始まった司法省の活動の調査を進めた。当初の計画については今後の研究で進める予定である。
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