2018 Fiscal Year Research-status Report
リスク規制における政治と行政:比較政策分析の視点から
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18K12719
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
早川 有紀 関西学院大学, 法学部, 助教 (20775853)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リスク規制 / リスク管理 / 規制政治 / 規制行政 / 政策形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本における環境や健康に関するリスク規制を政策領域横断的に比較分析することで、規制内容に影響を与える要因を多角的に分析することである。本研究ではこれまでの研究に基づき、リスク規制の内容に違いが生じる要因について、政治制度が規制主体に与える権限によって生じるものと考えることに加え、リスク規制に対する社会的関心が高いかそうでないかによって、規制主体の権限行使の態様も変化すると考える。このため、社会的関心の高低にも着目することより、規制内容に違いが生じるメカニズムを明らかにすることを目指す。 2018年度は、主に文献調査を行うことで分析枠組みの見直しや再構築を行った。具体的な理論的課題はリスク規制に関わる制度配置をめぐる歴史的発展分析であった。これまで用いた分析枠組みをさらに発展させて、規制主体の権限、および政治的影響が生じる場合における行政組織の自律性が規制内容に与える影響について規制主体の多様性に対応できるようにこれまでより踏み込んだ分析枠組みの構築を目指した。具体的な事例として、日本の自動車の排気ガス規制と食品安全規制について取り上げ、その歴史的経緯について文献調査を行った。また、環境省の組織の権限や自律性については、内容の一部について学会報告を行った。今後は、こうした内容を理論面・実証面でさらに発展させ、事例分析を踏み込んで行うことにより成果の公表に努める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は理論的な枠組み構築のために文献調査を中心に行ったため、おおむね計画通りに進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の取り組みを踏まえ、2019年度は事例分析にも踏み込んで分析を行う予定である。分析枠組みを発展させると同時に、事例についても内容がまとまり次第公表に努める。 具体的な課題として、第一にリスク規制に関わる制度配置をめぐる歴史的発展分析が挙げられる。これについては、文献調査と事例分析を同時並行ですすめることで、分析枠組みをさらに発展させる。また、第二の課題として社会的な関心の高さ/低さと規制者(行政組織)の政策形成メカニズムの解明であるが挙げられる。規制者の有する権限が社会的な関心の高さ/低さによってどのように規制内容に影響を与えるのかを具体的な事例を用いて分析する予定である。
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Causes of Carryover |
文献調査を中心に行ったことや、海外での学会発表については旅費助成などほかの助成金により執行したため、科研費に次年度使用額が生じた。次年度使用額は、文献の追加購入や資料収集やインタビュー調査を行う際の出張費用として用いる。
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