2020 Fiscal Year Research-status Report
リスク規制における政治と行政:比較政策分析の視点から
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18K12719
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
早川 有紀 関西学院大学, 法学部, 准教授 (20775853)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リスク規制 / 規制政策 / 危機管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年は、文献調査に加えて事例研究を進めることで、歴史的な政策形成過程とその決定過程を分析する予定であった。事例研究では、インタビューや海外での調査も行う予定であったが、新型コロナウイルス蔓延の影響により、計画を変更する必要があった。このため、リスク規制に対して関心が高まるタイミングやその政策的フィードバックについて文献研究を中心に検討を進めた。その過程では、今般のコロナ危機を踏まえて規制政策がどのような状況にあるといえるのかについてオンラインで研究報告を行った。報告準備を進める過程で、理論と事例について改めて検討を進めたところ、リスク規制に対する評価は、危機管理と関連付けて行うことの重要性が確認され、さらにコロナのような公衆衛生の分野における規制でも規制権限が規制内容に影響を与えることの意義やその限界について検討を深めることができた。この報告内容については、ブックレットとして公表される予定である。 本来進める予定であった事例分析は十分に進めることができなかったものの、政策のフィードバックに着目することはリスク規制の歴史的発展を考えるうえで重要であり、さらにそれを理論化する手がかりをつかむことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、引き続き理論に関する研究に加えて、事例研究を行う予定であったが、コロナにより海外での研究活動が予定通り進まなかったことなどにより、研究活動を十分に進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は海外での研究活動を行える見込みであるため、事例分析を進める予定である。また理論についても、事例を分析することによってさらに分析枠組みの発展を図る予定である。とりわけ2021年度夏からはカリフォルニア州で研究活動を開始し、現地での資料収集を行うほか、理論面でも社会的な関心が高い場合の規制政策の形成やその実施について取り込み、政策のフィードバック面を重視した分析を事例と理論の双方から検討する予定である。分析はまとまり次第、研究報告をしたり現地でディスカッションを行う機会を設けることでブラッシュアップできるように努め、最終的な成果を公表する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の拡大により、事例分析を進めることができなかったり、海外への渡航が中止されたりしたため、当初予定していた研究計画を十分に進めることができなかったため未使用額が生じた。今年度は海外での調査研究を行う予定であるため、渡航・滞在に必要な費用、さらに事例分析や研究交流に必要な費用に対して助成金を使用し、研究進展を図る予定である。
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