サッチャー政権期イギリスの外交・欧州安全保障政策と新冷戦 1979-1984年

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K12723
• Research Institution: Kanazawa University
• Principal Investigator: 岡本 宜高 金沢大学, 法学系, 講師 (10747827)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 外交史 / 国際関係史 / 冷戦史 / 西洋史 / イギリス外交

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、サッチャー政権期（1979-90年）におけるイギリス外交・安全保障政策の検証を目的とするものである。具体的には、1979年のサッチャー政権の発足から新冷戦と呼ばれる東西両陣営間の対立が頂点に達した1984年までを対象として、（1）サッチャー政権の外交構想と安全保障政策、（2）新冷戦に対する西側同盟内部の政策形成過程にイギリスが果たした役割、の2点について明らかにすることを目指している。
2019年度は、4年計画である本研究課題の第2年目にあたる。第1年目には、研究状況の把握とそれに基づく史資料の収集を行ったが、第2年目の本年度は収集した史資料の読解を行いながら、引き続きその過程で浮上してきた問題を明らかにするために新たに必要となった文献や史料の収集を、イギリス国立公文書館を中心に行った。その上で、この作業を通じて、1970年代イギリスの外交・安全保障政策が、サッチャー政権期にどのように変容したのかについて解明することを試みた。一方で、研究課題に関連する問題関心を共有する他分野の研究者との意見交換を行い、それを通じて本研究課題を起点に今後の研究に接続させ得る新たな視座を多く得ることができた。
2020年度は、追加史資料の収集を必要に応じて行いながら、これまでに収集した文献及び一次史料の読解と、研究内容の公表に向けた準備を引き続き進めていく予定である。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の予定通り、第1年目に収集した史資料の読解に基づいて研究の状況を把握するとともに、それに基づいた実証的分析を進めることができた。またそれと並行して研究内容について、関連分野の研究者との間で意見交換を行うことができた。以上から、本研究はこれまでのところ「おおむね順調に進展している」と評価できると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

これまでに収集した史料の整理と実証的分析を継続しながら、必要に応じてイギリスなど研究に係る国などでの現地調査を随時行い、研究成果の発信に向けた活動を行う。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由は、次年度に長期の史料収集を予定しているため、使用額の一部をそれに充てることとしたためである。
次年度については、史料収集のための旅費や機器及び書籍購入のための物品費、研究成果公表のための諸経費として使用する予定である。