2019 Fiscal Year Research-status Report
共有資源の配分問題におけるメカニズムデザイン:理論と実験
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18K12744
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
山邑 紘史 駒澤大学, 経営学部, 講師 (00610297)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 耐戦略性 / 上方集合ルール |
Outline of Annual Research Achievements |
共有資源の配分に際し、複数(3通り以上)ある選択肢のうち、実際に選びうる選択肢が事前に2通りに絞られる状況を考察した。そのような事例として、単谷型選好を持つ2人の個人間で一定量の資源を配分する、という状況が考えられる。先行研究(Klaus=Peters=Storcken, 1997)では、すべての個人が単谷型選好を有しているとき、耐戦略的でパレート効率的なメカニズムを用いるならば、ある個人にすべての資源を割り当てる必要があることが示されている。したがって、資源をAさんとBさんの2人で共有している場合には、選びうる選択肢をあらかじめ①Aさんにすべての資源を配分するか、②Bさんにすべての資源を配分するか、の2通りに絞り込む必要がある。 選びうる選択肢が2通りに絞られる状況において、先行研究(Barbera=Berga=Moreno, 2012)では耐戦略性をみたすメカニズムの性質の特徴づけに成功する一方で、耐戦略的なメカニズムのクラスの特定は行われていなかった。そこで本年度の研究では、「上方集合ルール(Upper set rule)」と呼ばれるメカニズムのクラスを定義した上で、「上方集合ルール」のクラスが耐戦略性をみたすメカニズムのクラスと一致することを示した。 この発見によって、耐戦略的なメカニズムの定義として、①まず選びうる選択肢を2通り以下に絞り込み、②その上でタイブレイキングルールを用いて1つの選択肢を選び出す、という二段階の定義が与えられている場合には、二段階目のタイブレイキングルールを「上方集合ルール」として定義すればよいことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べた研究成果を、査読付き国際学術誌のSocial Choice and Welfareに公刊することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
「上方集合ルール」をタイブレイキングルールとして用いることができるような応用事例を考えていきたい。
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Causes of Carryover |
2020年3月に予定していた出張が中止となったため。中止した研究出張を、2020年度中に実施する予定である。
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