2020 Fiscal Year Research-status Report
共有資源の配分問題におけるメカニズムデザイン:理論と実験
Project/Area Number |
18K12744
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
山邑 紘史 駒澤大学, 経営学部, 准教授 (00610297)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 共有資源 / フリーライダー / リスク選好 / 時間選好 |
Outline of Annual Research Achievements |
里山や漁場に存在する共有資源を持続可能な形で利用していくためには、共有資源の利用者による維持管理が不可欠である。共有施設の維持管理には、一定額の人的・金銭的コストをかける必要がある。維持管理のために支払われるコストが過少な場合、資源の持続的な利用が困難になり、資源の利用可能期間が短くなってしまうおそれがある(共有地の悲劇)。 共有資源の維持管理コストの支払に関する意思決定を分析する際には、以下の3種類の選好が意思決定に影響を及ぼす可能性を考慮する必要があるだろう。 1つめは互恵性選好である。共有資源の利用環境は公共財としての性質(非排除性・非競合性)を有しているため、他の利用者のことを一切考慮しない利用者は、維持管理費用を支払わらずにフリーライダーとなる可能性が高い。一方で、互恵性選好を有している利用者であれば、他の利用者の厚生を考慮してより積極的に維持管理行動を取るかもしれない。 2つめはリスク選好である。利用者がリスク回避的であればあるほど、共有資源が利用できなくなるリスクを軽減するべく、より維持管理行動に積極的になることが考えられる。 3つめは時間選好である。時間割引率の低い利用者であればあるほど、将来のことを考慮して、現時点で維持管理にコストをかけるをより厭わなくなるかもしれない。 今年度の研究では、経済実験を通じてこれら3種類の選好が共有資源の維持管理をめぐる意思決定に与える影響を検証するに先立ち、共有資源の維持管理をめぐる経済モデルを構築し、理論的な分析を行った。その結果、均衡において、利用者は資源の維持可能性がある確率を下回ると維持管理行動をストップさせることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は経済実験を実施する予定であったが、コロナ禍により実験参加者を募集することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
経済実験の実施可能性を検討するとともに、これまでの理論的成果の公表を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、予定していた経済実験ができなくなり、また、海外学会での報告ができなくなったため。まずは今でも進めることのできる理論研究を行い、校正などの論文執筆費用として充当したい。
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