2021 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism design for common pool resource allocation problems: Theory and experiment
Project/Area Number |
18K12744
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
山邑 紘史 駒澤大学, 経営学部, 准教授 (00610297)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 共有資源 / ただ乗り / ピボタルメカニズム / 自発的支払メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
里山や漁場に存在する共有資源を持続可能な形で利用していくためには、共有資源の利用者による維持管理が不可欠である。共有資源の維持管理には、一定額の人的・金銭的コストをかける必要があるが、共有資源の利用者が複数いる場合に、他の利用者の維持管理活動に「ただ乗り」しようとして誰も維持管理コストを払わなくなるおそれがある。このような「ただ乗り」問題を解決するためには、共有資源から得られる便益に応じて利用者に維持管理コストを割り当てる仕組み(メカニズム)を構築する必要となる。 このような「ただ乗り」問題を理論的に解決するメカニズムとして、「ピボタルメカニズム」と「自発的支払メカニズム」が良く知られている。ピボタルメカニズムは、各利用者が自身の便益を正直に申告することが支配戦略となる(耐戦略性)という優れた性質を有しているものの、ルールは幾分で複雑で、余分な維持管理コストを徴収してしまう可能性が存在する。一方で自発的支払メカニズムは自身の便益を正直に申告することが支配戦略ではないものの、ルール自体は単純で、精緻化されたナッシュ均衡において非効率的な帰結を排除することができる。 この二つのメカニズムを経済実験に基づいて同一の経済環境で比較したところ、完備情報の状況においては、ピボタルメカニズムよりも自発的支払メカニズムの方がパレート効率的な帰結に至る頻度や利用者の余剰が高まる傾向があることが観察された。この観察結果は、自発的支払メカニズムは耐戦略性をみたさないにものの、ピボタルメカニズムを上回るパフォーマンスを発揮する可能性を有していることを示唆している。
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