2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12746
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
柏木 昌成 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (20780836)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マクロ経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は経済主体の自己実現的期待によってマクロ経済変数のダイナミクスをどの程度説明できるのかという問題について、理論的・定量的アプローチを用いて検証することを目的とする。2019年度は前年度に引き続き、労働市場における失業と期待の関係についての理論モデルを構築し分析する作業を実施した。これに加えて、2019年度においては金融市場に関わる問題にも着手し、同市場を対象としたモデルにおける複数均衡の発生、そしてそれに伴う自己実現的期待による経済変動の可能性についての文献の整理検討を開始した。 労働市場のマクロ経済学的分析については、サーチ・マッチング理論を用いたモデルにおいて、自己実現的期待が失業の発生にどのような役割を果たすのかという問題を軸に本研究課題を進めている。労働市場の摩擦を表現するものとしての求職者と雇用者のマッチング関数について置かれる一般的な仮定に変更を加えた場合に、モデルを解析的に分析するにあたり当初予定していた手法が適用できなくなることを見出したが、その後検討を続け通常の設定のもとで分析を行うという方針で進めている。 金融市場に関しては、先行研究において銀行の異質性および銀行間取引の存在するモデルのもとで複数均衡が発生する可能性が指摘されており、2019年度は関連研究の検討を中心に進めた。解析的に分析することが可能なシンプルなモデルを中心に見てきているが、その手法を発展させ今後は実際のデータにより引きつけた分析ができるようにモデルに手を加えることや定量的な分析へとつなげることを目指していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の想定と異なる結果が出ており、それへの対応に時間を要してきているため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の方針に従い、労働市場および金融市場に関わる分析を継続していく。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた資料や備品等について、在庫状況・配送状況の関係で2020年度に支出することにしたため。
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