2021 Fiscal Year Annual Research Report
Credit Market Governance in J.R. Commons's Institutional Economics
Project/Area Number |
18K12753
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
北川 亘太 関西大学, 経済学部, 准教授 (20759922)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | J.R.コモンズ / レギュラシオン理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、J.R.コモンズの制度経済学の現代的・理論的意義を明らかにするために、フランスの現代制度学派の一つ「レギュラシオン理論」との比較研究を行った。 M.アグリエッタの『資本主義のレギュラシオン理論』は、「アメリカ合衆国の経験」から、政治経済の均衡に代わる「レギュラシオン」(調整)という概念ないし世界観を引き出した。この生成的研究の素材の一つはJ.R.コモンズの『合衆国労働史』であった。その後、B.テレは、コモンズがレギュラシオンの理論的発展の礎石になると主張し、自らを「コモンズ派レギュラシオニスト」と称した。しかし、こうしてコモンズがレギュラシオンの理論的な生成と再検討に(小さくであれ)関わっているにもかかわらず、コモンズの知見は、他のレギュラシオニストの理論的研究、経験的(帰納的)研究、モデルづくり、実証研究に活かされていない。 本稿の目的は、コモンズを回顧することではなく、彼の知見を用いて「レギュラシオン」という概念や見方を豊富化ないし再解釈することである。本研究の目的は、彼の知見を用いて「レギュラシオン」という概念や見方を豊富化ないし再解釈することである。とりわけ、産業単位の質的調査を重視する「若手レギュラシオニスト」に有用な見方へと発展させることである。具体的には、コモンズの制度経済学から、「集団的行動において表れるレギュラシオン」という見方を引き出した。それは、さらに、次の4点を示唆する。第1に、「社会的レギュラシオン」から「経済的レギュラシオン」を切り離すことなく集団や社会を分析することの意義である。第2に、過去と将来を内包する現在点における動態的レギュラシオンという見方である。第3に、「調査者」としてのレギュラシオニストの倫理的な役割である。第4に、ミクロ/メゾ/マクロ経済学(者)という分類ないし自己限定の有害さである。
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Research Products
(2 results)