2019 Fiscal Year Research-status Report
Bayesian shape-restricted functional regression with application to economic data
Project/Area Number |
18K12754
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 弦矢 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (00725103)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 分位点回帰モデル / 状態空間モデル / 空間統計 / 所得分布 / ロレンツ曲線 / ベイズ統計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は引き続き分位点回帰モデルとロレンツ曲線に関する研究を以下のように行った. まず形状に制約のある関数を含む分位点回帰モデルについては,ディリクレ過程混合モデルに基づき一般化非対称ラプラス分布のノンパラメトリックな誤差分布を持つように昨年度までの結果の拡張を行った.更に,分析対象が複数のグループに分かれるときには,同じ関数の形状制約下でグループ間で異なる関数の振る舞いを持つことができるような階層モデルへの拡張なども行った.提案するモデルを2004年度から2015年度の間の日本の国立大学の教育研究関連費用を学生数などに対して回帰したところ,形状制約が含まれるモデルがデータによって支持され,また年度によって学生数の費用に対する影響がかなり異なるということがわかった. ロレンツ曲線については,家計調査の月次グループデータを分析することを念頭に,ロレンツ曲線のパラメータが時間変化するような状態空間モデルを提案した.尤度部分については,各所得階級の所得シェアの期待値が階級の閾値でのロレンツ曲線の差と等しくなるようにディリクレ分布を採用し,時間変化するパラメータについてはリンク関数による変換後に自己回帰過程などを従うと仮定した.数値実験および実データへの適用から,時系列データをすべて一つの統計モデルで利用することによって各期のパラメータやジニ係数などの推測結果が安定的にできるようになったことがわかった.またロレンツ曲線に関する研究と並行して,日本全国の市区町村の所得分布を推定するための空間モデルに関する研究も行った. これらの研究結果は国際査読誌に投稿あるいは掲載が決定している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算負荷が高いことから分位点回帰モデルに関する研究は想定しいたよりも長い時間がかかったが,現在国際査読誌に投稿・改訂中である.一方でロレンツ曲線に関する結果は比較的早期に出ており,これも現在投稿・改訂中である.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画にもあったように,今後は形状制約を他の統計手法に取り入れることを考えている.例えば,quantile ratioによるトリートメント効果推定やセミパラメトリックなロレンツ曲線などである.分位点回帰モデルについても,2019年度は単一の分位点を別個に推定する手法を取り上げたが,分位点関数を一度に推定する手法について研究を行うのも有意義である.それにおいては分位点関数の単調性を担保しないといけないので本研究で取り上げるアプローチが有用になると考えられる.最後に,現在行っているロレンツ曲線に関する研究からの派生として,現在ディリクレ分布を尤度関数に採用しているがデータの構造をより柔軟に捉えるためにディリクレ分布の一般化分布を採用することを考えている.これにあたってはモデルの特定化・推定方法に工夫がかなり必要になることが考えられる.
|
Causes of Carryover |
コロナウィルス感染拡大により,年度末に予定していた出張ができなくなったため.コロナウィルスの状況にもよるが,2020年度は研究結果の報告を国際学会などで行うために予算を使用する予定である.
|