2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12756
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
國濱 剛 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (40779716)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ベイズ統計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では,死因が与えられた条件下で年齢,病歴,病状などの説明変数が2値変数とは限らない場合におけるベイズ統計モデルの開発に主に取り組んできた.具体的に,カウント変数に対しては,元データをlog関数を使って変換を行うことにより連続変数として表現し,多変量正規分布の枠組みでモデルを考案した.PHMRC(Population Health Metrics Research Consortium)データにおけるカウントデータは右に裾が厚いものが多いが,log変換を行うことで正規分布の形状に近いヒストグラムが得られた.また,カテゴリカル変数に対しては,既存の多項プロビットモデルを応用することでカウント変数と同様に多変量正規分布の枠組みでモデル化を行うことが可能となった.加えて,これらの新しいモデルにおけるパラメータを推定するためのマルコフ連鎖モンテカルロ法に基づく計算アルゴリズムの開発を行った.現在まで,PHMRCデータを使って従来の統計手法との比較に取り組んでいる. また,神戸大学で開催された国際統計学会「THE 4TH EASTERN ASIA MEETING ON BAYESIAN STATISTICS, EAC-ISBA 2019」において,国際雑誌Annals of Applied Statisticsに掲載が認められている,故人の病歴や症状などの調査データがすべて2値変数であると仮定した場合のベイズ統計手法について発表を行った.加えて,滋賀大学(統計関連学会連合),早稲田大学(計量政治学ワークショップ),松山大学(ベイズ統計学研究集会)で行われた統計学関連の学会・研究会に参加し,最新の統計分析研究の動向を学んだ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口頭剖検における従来の統計手法で広く仮定される症状の2値変換を避けるベイズ統計モデルを新たに考案し,マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いた推定アルゴリズムを開発した.そこで,口頭剖検の統計分析において広く用いられるPHMRCデータによる従来の統計手法との比較を行ってみたところ,予測分布の推定の改善がほとんど見られなかった.新たな手法ではデータの2値変換を避けており,データが含む情報をより多く利用しているため,理論的には分布推定が改善されるべきなので不十分な結果となった.この原因を探るために現在まで成人データの他にも新生児,幼児データを使って分析を続けている.この原因解明に時間がかかっており,構造的制約を取り込んだベイズ統計モデルの考案にはやや遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
混合尺度を許す新たなベイズ統計モデルにおいて,従来の統計手法と大きな違いが見られないという現段階での比較分析結果の原因調査に取り組んでいく.考えられる点として,カウント変数の一部において0の割合が非常に高い一方で,log変換を行う際には0を扱えるようにすべてのデータに1を加える処理を行っているが,この恣意的処理が与える影響が大きい可能性がある.また,聞き取り調査データにあるカウント変数自体に死因予測のための追加情報がそこまで含まれておらず,2値変換を行なっても大きな問題がないことも考えられる.これらの調査分析と並行して,構造的な制約をどのようにベイズ統計モデルの枠組みに組み込むかについても引き続き取り組んでいく.得られた研究成果は積極的に研究学会などで発表を行うことを目指す.
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Causes of Carryover |
残金が計算機器などの物品を購入するには不十分な額であったため,翌年度に必要となる物品の購入費用や旅費として利用することにした.
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