2018 Fiscal Year Research-status Report
小区分ごとの貧困層実態把握への統計的アプローチ---貧困・格差是正に向けて
Project/Area Number |
18K12758
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
廣瀬 雅代 統計数理研究所, データ科学研究系, 助教 (30739199)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小地域推定 / 貧困率推定法 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の平成30年度は、小区分ごとの貧困層実態関連調査分析法の改良に取り組んだ。 具体的には以下2つの研究が該当する。 1) 効率的な統計的推測法のベイズ的アプローチからの考察, 2) モデルに基づくアプローチにおける貧困率推定のための効率的な統計的推測法の開発
1) については、海外の研究者との共同研究として、過去に提案した効率的な統計的推測法についてベイズ的アプローチからの考察を行い、さらなる有用性を見出した。国際学会にて研究成果を発表し、現在、研究成果を国際誌に論文投稿している状況である。2) については、貧困率推定に活用されうる特定の統計的モデルを想定した下で、漸近的精度の向上を達成する統計的推定法の開発を目指し、その理論的保証にも取り組んでいる。この研究は、海外の研究者との共同研究として現在も進行している。また、この研究遂行のために、平成31年度に計画されていた在外研究を当該年度に変更した。しかしこの変更によって、より早い時期に在外研究を行うことができ、その結果、さらなる改良可能性を見出すことが可能となった。この理論保証が実現すれば、想定しているデータ発生モデルに妥当性がある場合、より効率的な小行政区分別貧困率の推定が可能となる。その結果、実態を反映しやすい貧困実態地図作成が可能となり、より効率的な貧困対策や格差是正対策への期待を高めることができると考えている。さらに、医学・医療データ分析にも将来活用可能とも考えている。また、当該年度には、国内外の学会にて講演や情報収集も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、国外共同研究者との二つの研究を実施し、ある程度の研究成果を得ることができた。特に、研究実績の概要でも記載したとおり、在外研究を早めに実施した為、さらなる改良可能性を見出すことが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き、モデルに基づくアプローチにおける貧困率推定のための効率的な統計的推測法の開発を目指す。また、貧困率より複雑なデータ発生メカニズムの想定や仮定するデータ発生のメカニズムに適さない場合に対する貧困実態指標推定のための手法開発も行う。可能であれば、その統計的推測法の適用分野を見極め、その範囲を広げる。さらに、貧困層実態把握データへの適用のために、活用可能なデータを見極め、情報収集しながら改良の余地を探る。
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