Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は, 1) 集計データを用いた, 小区分ごとの実態把握のための統計的推定法に関する共同研究を行い, 学会等で研究報告を行った. さらに, 2023年4月までに2件の国際誌に掲載された. 昨年度にも記載している内容ではあるが, 具体的には, 平方根変換と逆正弦変換を目的変数とした経験的ベイズ推定量とその平均二乗予測誤差の二次漸近不偏推定量を陽に導出した. 特に後者については, 提案する推定量が非現実的な推定値の発生をも回避することを示した. さらに, 新型コロナウィルス感染拡大の状況を受け, 都道府県別PCR陽性率やフロリダ州郡別新型コロナ感染症による死亡数の予測にも適用を計り, 統計的に有用な性質を持つ予測誤差に関する指標の推定量を陽に導出した. ある仮定の下であれば, パンデミック初期段階であっても従来法より信頼性の高い分析に貢献するのではないかと期待している. また, 2) 小領域ごとの推測法に関連しうると考えられる統計的制御の共同研究をさらに深めた. 具体的には, 統計的開示制御の分野で活用されるEwens model下での寸法指標の統計的精度の改良を図った. さらに理論的に導出した新たな複数の推定量の中で, 特に優れた手法を数値実験によって示すことができた. その研究成果は昨年度までにarXivとして論文にまとめていたが, 再度校正を行った結果, 国際誌への掲載が決定している状況である. 他にも, 3)過去に提案したバイアス補正法の拡張可能性とその幾何的解釈を議論した共同研究も行い, 現在論文投稿中である. さらに, 2022年度は, 他の分野にも昨年度までの研究成果の適用可能性を見出した. 実際この手法を用いて, 観光分野や貧困地図等の資料作成への適用を試している.
|