2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigating the affects of altruistic perceptions on the consumers' willingness to support the disaster region: a case study from the Great East Japan Earthquake
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18K12763
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
有賀 健高 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (90589780)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 被災地復興支援のための消費 / 利他的意識の指標 / 離散選択実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度までのアンケート調査で得た、地震災害によって被害を受けた地域に対する消費者意識に関わるデータの分析を行った。アンケートは被災地で生産されたコメ、豚肉、マグロの3品目に関して実施されたが、本年度の分析がデータの概要を掴むという意図から3品目全てのデータを一つに統合した形で分析を行った。 そして、主に消費を通じた被災地支援においては、人々の中にある他者を助けたいという利他的意識が影響している可能性を分析した。消費者の利他的意識を把握する方法として、心理学の分野で使われている利他的意識の度合いを測るための指標(SRAS:Self-report Altruism Scale)を用いた。この指標もアンケートによって入手した。被災地の食品に対する購買意欲に関しては離散選択実験の手法によって把握し、利他的意識がこの食品に対する影響は、条件付ロジット及びランダムパラメータモデルによって分析を行った。分析によって、SRASが消費者の被災地の食品に対する購買意欲に正の影響を与えていることが明らかとなり、利他的意識の高い消費者ほど被災地への消費を通じた支援に積極的である可能性が示唆された。 さらに、本研究では、被災地が日本であるか外国であるかの違いによって支援意識に違いがあるかについても分析している。方法としては選択実験の商品属性の中に外国の被災地も入れ、産地が日本国内の場合と外国の場合の購買意欲の違いを見ることで行った。分析により、消費を通じた支援は外国の被災地よりも自国の被災地の方が効果的であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケートで行ったデータが、当初予定していた利他的意識が被災地の消費者意欲に正の影響を与える可能性があるということを明らかにするのに十分信頼できるデータであるのかが懸念されていたが、第一段階の分析では予想通り正の影響を与える傾向が見られたため。 また、本年度の研究結果は既に学会誌に投稿し採択され出版されており、研究成果の一部を社会に反映するという目的を達成することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケートは被災地で生産されたコメ、豚肉、マグロの3品目に関して行っているため、食品の品種の違いによって消費者の購買意欲や利他的意識の違いによる購買行動への影響に違いがあるのかという点を明らかにしていく予定である。本アンケートは全国の消費者を対象としているため、地域によってこれらの3品目に対する消費行動に違いがあり、消費を通じた支援の傾向においても、食品毎に異なる特徴が出てくる可能性があり、この点を明らかにできればと考えている。 さらに選択実験の商品属性に入れた被災地への寄付金という項目が一番利的意識と関係していると思われるため、今後はこの被災地への寄付金という項目と利他的意識の指標の関係を中心に研究していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
統計ソフトウェアの更新、英語論文の校正費用、論文の投稿費用、学会参加費用、研究で必要な物品の購入費用に用いることを計画している。
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