2021 Fiscal Year Annual Research Report
Investigating the affects of altruistic perceptions on the consumers' willingness to support the disaster region: a case study from the Great East Japan Earthquake
Project/Area Number |
18K12763
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
有賀 健高 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (90589780)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 被災地復興支援のための消費 / 利他的意識の指標 / 選択実験 / G-MNL / latent class |
Outline of Annual Research Achievements |
日本で地産地消が推奨されるなか、コメは様々な地域で生産されていることもあり、一般的に地産地消の割合が高いことが知られている。一方、豚肉やマグロについては産地が偏っていることもあり、必ずしも地元の産地のものが消費されていない傾向にあり、地産地消の割合はコメと比べて低くなっている。本年度の研究では、このような地産地消の割合の異なる3品目に対する消費性向の違いが、被災地の商品を買う際の意思決定に利他的意識が与える影響の違いを分析した。選択実験によって得られたデータの分析方法としては、一般多項ロジット(generalized mixed logit model(G-MNL))と潜在クラス(latent class)の方法を適用した。 分析の結果、地産地消の割合の高いコメと比べて研究対象で扱った3品目の中では一番地産地消の割合の低かったマグロの方が被災地支援の購買行動に利他的意識がより強く関与している可能性が示唆された。コメの消費については、利他的意識が影響しない側面もみられた。このような違いが出た要因として、マグロは他の2品目と比べて、購入頻度が低く、単価が高いことから奢侈品の特徴があり、被災地支援の商品として他の2品目よりも寄付の対象として高く評価された可能性が考えられた。被災地で生産されたコメに対する利他的意識の影響が低くなった原因としては、コメは地産地消の割合が高いことから、アンケートで設定した仮想的な地域の支援よりも地元を支援したいといった意識が消費者の選好に影響した可能性が示唆された。 以上より、被災地が支援を得るためには、地産地消の割合の高い商品よりも比較的高価で全国的に流通しているものを販売した方が、より効果的に支援を得られる可能性がうかがえた。
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