2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K12764
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
中川 万理子 東京大学, 空間情報科学研究センター, 講師 (30779335)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 言語的障壁 / スキル移転 / 国際移民 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題で遂行予定の，以下の３つのプロジェクト（i）言語圏内外の移住・英語圏への移住に関する意思決定に対して，スキル移転の困難が与える影響の分析．（ii）国際移住に伴うスキル移転の困難度合いが，移住先の言語構成に依存するモデルへの拡張． （iii）スキル移転可能性に関して，労働者間で異質性があるモデルへの拡張．のうち，本年度はプロジェクト（i）の再改定作業を主に進めた．
具体的には，昨年度に執筆したdiscussion paperの内容の改定作業を行った．昨年度は，安定均衡において，スキル移転のしやすい英語圏の方が，スキル移転の容易ではない非英語圏よりも高スキルな国際移民労働力を集めやすいこと，また，スキル移転コストが存在するモデルにおいて，高スキル労働者が集積せず自国にとどまる分散均衡が常に成立することを示した．加えて，複数均衡のうちどの高スキル労働者分布が社会的に最適なものであるかについても議論した．本年度は上記に加えて数値シミュレーションも併用し，解析的には取り扱うことができなかった部分について補完的な分析を追加した．
また，社会的に最適な高スキル労働者の分布について，より現実的には，国ごとの政策実行がなされる点を考慮して，各国についてどのような高スキル労働者分布が最適なものになるかについての議論展開を加えた．
今年度に行った改定作業により，プロジェクト（i）については査読付き国際学術誌である”International Economic Journal”に受理・公開されることとなった．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前項目「研究実績の概要」でも記載したように，本研究課題で遂行予定の3つのプロジェクトのうち，初年度に遂行予定であったプロジェクト(i)についてはすでに国際学術誌への掲載が決定されたので，比較的当初の予定通りの進捗状況であるといえる．
また，プロジェクト(ii)については，本年度に主に行う予定であったが，上記のプロジェクト(i)の論文の投稿後の改定作業を優先する必要があったので，昨年度から進捗状況に変わりはない．従って，昨年度同様にすでに基本的なセットアップがある程度進んだ状態となっているので，今後はそのセットアップのもので解析的な分析を進め，適宜数値シミュレーションを補完的な手段として併用しながら研究を進めていく予定である．
プロジェクト(iii)については，現時点では分析自体はまだ手付かずの状況となっており，先行研究のサーベイを進めている段階である．
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| Strategy for Future Research Activity |
プロジェクト(i)については今年度に国際誌に掲載決定されたことにより，ひとまずは完了したので，今年度はプロジェクト(ii)(iii)について進めていく予定である．
プロジェクト(ii)については，上記「現在までの進捗状況」でもふれたように，現時点までに組み立ててあるセットアップの下で解析的，数値的分析を進めていく．それらをdiscussion paperとして書き上げ，国際誌に投稿する準備を行う予定である．
プロジェクト(iii)については，実証的な研究を行う予定であり，本プロジェクトに適すると思われる実証分析手法を用いた先行研究のレビューを引き続き進める．そのうえで，利用を検討中のデータの整理・整備作業を進め，大まかな推定結果を出すことを目指す．さらに，順調に進んだ場合には，頑健性の確認や，政策的な議論まで進めることを目指す．
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