2022 Fiscal Year Annual Research Report
An experimental study on market segmentation of water quality trading auctions
Project/Area Number |
18K12766
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊藤 伸幸 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (30742605)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 閉鎖性水域 / 水質汚濁 / 水質取引プログラム / オークション / 費用対効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は,投入ベースクレジットの水質取引オークションに関するラボ実験を行った。本研究では,規制当局がオークションを通じて,複数の非点汚染源から水質クレジットを購入することで非点汚染源からの汚染負荷を減らし,閉鎖性水域の水質を改善する水質取引オークションの制度設計に取り組んでいる。ここでは,規制当局が各非点汚染源における汚染削減の閉鎖性水域の水質改善に対する限界効果に関する情報を保有し,それらの限界効果によって発行するクレジットを差別化し,費用対効果の高い汚染削減を目指すモデルを考えた。クレジットの差別化の方法には,閉鎖性水域における水質を1単位改善できる汚染削減を課す水質クレジット(環境ベースクレジット)と,各非点源における汚染物質を1単位削減することを課す水質クレジット(投入ベースクレジット)がある。 いずれのクレジットについても,オークションを通じて実現した汚染削減量と潜在的な汚染削減最大量との比率(PMAR),実現した汚染削減の費用対効果と潜在的な最大汚染削量のシナリオの費用対効果の比率(PCER),オークションにおける汚染削減量あたりの売り手の利益(SPRA)の3つの指標によって,オークションのパフォーマンスを評価した。 実験データの分析結果からは,水質改善に対する限界効果の高い売り手の割合に関わらず,市場細分化は汚染削減効果の高い売り手の入札額を下げ,オークションのパフォーマンスを改善させることが観察された。この効果は,水質改善に対する限界効果の高い売り手の割合が大きい場合には,水質改善に対する限界効果の情報を公開したことによるオークションパフォーマンスの悪化を完全に相殺するほど大きいことが観察された。以上の研究成果についてまとめた論文を査読付きの国際学術雑誌に投稿した。
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