2018 Fiscal Year Research-status Report
環境保護と経済成長の両立性についての家計および企業の視点からの分析
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18K12774
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
大浦 あすか 大東文化大学, 経済学部, 助教 (10784019)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 経済成長 / 環境汚染 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境を悪化させない範囲において経済成長を目指す「持続可能な経済発展」の概念は国際的に広く認識されているにもかかわらず地球温暖化が進行し続けている。本研究では時間をかけて蓄積することを考慮し以下の2点の研究に取り組んだ。 1. 汚染の蓄積度合いに応じて人的資本の蓄積のインセンティブが異なることを考慮し、経済発展と環境の質の経路を明らかにするための理論モデルを構築した。長期的な均衡は初期条件(人口と人的資本水準)に依存することが明らかになった。初期条件が悪い(人口が少なく、人的資本水準が低い)と、環境の質を保ちつつ経済発展を遂げる均衡にたどり着かないことが判明したため、持続可能な経済発展を達成できる均衡を実現するための政策についての分析を行う必要がある。 2. 汚染は目に見えずその影響が観察されるまでに時間がかかる。このような特徴があるため、汚染を発生させる可能性のある財を生産する企業は、その品質について偽装する可能性がある。こういった状況におけいて、企業の研究開発インセンティブとの関係を明らかにするため、まずは、経験財が存在する経済における均衡を特徴付ける一般均衡モデルを構築した。そのもとではパラメーターによって企業が常に技術開発を行う均衡と、技術開発を行う時期と行わない時期が交互に繰り返されるような均衡が存在することが明らかになった。今後はこのモデルを拡張し、財の消費が環境に与える影響を考慮したモデルを構築し政策分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1の研究は予定より遅れているが、2の研究を予定より進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は1の研究の経済政策分析を終えて完成させる予定である。2の研究についても、モデルをより精緻化したうえで均衡の性質を明らかにし、政策分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会での報告における旅費が予定より少なくすんだため。次年度以降の書籍の購入に充てたい。
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Research Products
(3 results)