2019 Fiscal Year Research-status Report
Transaction strategy of new technology and economic policy
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18K12780
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
服部 昌彦 同志社大学, 経済学部, 助教 (90803718)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 微分ゲーム / ライセンス |
Outline of Annual Research Achievements |
先進技術を持つ多国籍企業が自国市場へ参入するのか、自国企業へ新技術をライセンスするのかといった戦略的判断は自国経済に大きな影響を与える可能性があるため、こうした状況をモデルによって分析することが望ましいと考えられる。International Journal of Economic Theoryに掲載された“License and entry strategies for an outside innovator in Stackelberg duopoly with royalty and fixed fee under vertical differentiation”の概要は以下の通りである。高品質な財を生産出来る新技術を持つ外部企業と、ある独占市場を考える。外部企業は独占市場へ参入、独占企業へ新技術をライセンス、参入かつライセンスの3戦略をとることが出来ると考える。費用関数がconcaveの場合は、独占市場への参入戦略と独占企業へのライセンス戦略が等しく最適になることが分かった。また、費用関数がconvexの場合は、独占市場への参入かつ独占企業へのライセンス戦略が最適になることが分かった。また、独占企業へのライセンスが行われる場合、独占企業へ常に正のRoyaltyが課されることが分かった。 また、“General analysis of dynamic oligopoly with sticky price”は静学的な寡占均衡と微分ゲームを用いた動学的な定常状態を比較した。動学モデルにおいては静学モデルよりも企業の生産量が多くなることを示した。“A differential game analysis of free entry oligopoly with sticky price”は動学モデルでは静学モデルよりも企業数が多くなることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ライセンスに関する論文が2本、学術誌への掲載が決まった。査読に長期間を有したが、論文内容が認められ、成果を発信することが出来た。 また、新しい研究分野として、微分ゲームの理論モデルを用いた研究を進めた。2本の論文が学術誌へ掲載され、今後の展望も明るい。 加えて、微分ゲームを用いた論文を2本作成した。また、それぞれの論文内容に関する学会発表を2回行った。動学を専門にする研究者からのコメントを得ることができ、修正の後、学術誌への投稿を予定している。 ライセスに関する論文が認められ、微分ゲームという新しい分野への進出にあたって、論文1本の成果を得られたため、当初の計画以上に進展していると考えられる。学会発表を行った2本の論文に関しても修正点は多くないため、近いうちに学術誌への投稿が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年に学会発表を行った2本の論文に加えて、3本の論文を作成している。高度な専門知識を持つ編集者、査読者を有する学術誌へ投稿し、専門的な見地から論文へのコメントを得る。コメントをもとに論文の修正を行い、新しい学術的知見を広く世に発信していく予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度は多くの論文を執筆することに時間を費やしたため、長時間にわたる国内遠方や海外の学会へ参加する時間を多くとることが出来なかった。2019年度に参加した研究会や学会は比較的近距離であったため、移動費や滞在費を低く抑えることが出来た。また、パソコンや書籍に関する費用も当初の予定よりも少なく抑えることが出来た。 2020年度は積極的に研究会や学会へ参加し、幅広く研究内容を発信するとともに、海外を含めた様々な研究者との共同研究を目指す。参加する学会や研究会は以下のものを予定しており、移動費や滞在費を支出する。Summer Workshop on Economic Theory(於 小樽経済センター、8月22日~8月30日)、関西学院大学産業組織論ワークショップ(於 関西学院大学、不定期に年10回程度開催)、European Association for Research in Industrial Economics(於 Bologna 8月28~30日)等。 また、ノートパソコン、デスクトップパソコンの更新を行う。 2019年度より微分ゲームを用いた動学分析を進めているため、関連書籍や関連論文の購入を行う。
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Research Products
(7 results)