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2020 Fiscal Year Research-status Report

「貧困の罠」への行動開発経済学的アプローチ

Research Project

Project/Area Number 18K12786
Research InstitutionInstitute of Developing Economies, Japan External Trade Organization

Principal Investigator

會田 剛史  独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センターミクロ経済分析研究グループ, 研究員 (40772645)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords主観的厚生 / 内戦 / 自殺率
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、貧困と行動経済学的要因との間の相互依存関係である「貧困の罠」について、フィールド実験とミクロ計量経済学の手法を組み合わせたアプローチにより分析するというものである。これについて、今年度は主に以下の点について研究を進めた。
(1)南アフリカの家計調査データを用いた主観的厚生指標の地域間格差に関する空間計量経済学的分析について、昨年度に引き続きセミナー発表などを行い、得られたコメントに基づいて論文を改訂し、英文学術ジャーナルに投稿を行った。
(2)以前より実施しているフィリピン・ネパールにおけるコミュニティの「居場所」作りが社会関係資本や心理的アウトカムに与える影響の分析について、新型コロナ禍におけるサンプル対象者の健康状態を検証するための追加調査を企画した。この調査については現地協力者との調整が難航しているため、現時点においてはまだ実施できていない。
(3)スリランカの内戦期間中における自殺率の低下に関する論文を執筆し、ジャーナルに投稿・掲載された。社会学や公衆衛生の分野において、戦争期間中には自殺率が低下することが知られていたが、既存研究は時系列データの分析のみで因果関係を議論することは困難であった。そこでこの研究では、スリランカ内戦期間中とそれ以外の時期、係争地域とそれ以外の地域という「差の差」に注目した分析を行った。これは当初の予定にはなかったものであるが、発展途上国における内戦という大きな問題が、社会的凝集性という心理的メカニズムを通じて人々の意思決定に与える影響を分析したものであり、本研究課題の趣旨に合致するものである。
これらの研究以外にも、前年度に引き続き文献のサーベイや、前年度の事前調査に基づく新たな研究アイデアについて議論を行ったが、新型コロナウィルス禍により現地調査の実施が困難となった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

今年度は今までに執筆した論文の改訂に加え、新たな論文を執筆し、ジャーナルに掲載することができた。一方で、新型コロナウィルスの世界的流行により、参加を予定していた複数の国際学会が中止・延期になり、論文を報告してフィードバックを得る機会が失われた。また、今年度に予定していた現地調査も実施が困難となり、当初の計画よりも研究の進捗が遅れている。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題は2020年度で終了の予定であったが、新型コロナウィルスの影響による研究の遅れを受けて1年間の延長を行った。今までの進捗状況を踏まえ、それぞれの研究について以下の方針で進めていく予定である。
(1)主観的厚生指標の地域間格差に関する論文については、追加的にコントロールすべき変数や、その作成方法についてすでに論文の改訂の方針が決まっている。今後はそれに従って作業を進め、改めて英文学術ジャーナルに投稿する。
(2)要求水準と貧困の関係性に関する実験の論文については、引き続きデータ分析を進める。また、参加を予定していた国際学会の中止・延期に伴い、フィードバックを得る機会が減少しているが、国内を中心としたオンライン研究会に参加するなどして、それを補っていきたい。
(3)フィリピン・ネパールの「居場所」作りの効果測定に関しては、引き続き共同研究者と議論を進めて論文を改訂し、英文学術ジャーナルに投稿する予定である。また、コロナ禍における社会的・心理的状況把握のための追加調査についても、改めて実施の可能性を探っていきたい。
(4)前年度より実施可能性を模索しているカンボジア農村における農業技術の普及プロセスの分析や保健衛生プログラムの効果測定については、渡航可能性と現地での感染状況などを踏まえ、引き続き研究協力者と協議を行って、調査の実施可能性を検討する。それと並行して、既存の家計調査データによって同様のテーマについて分析ができるかどうかについても検討していきたい。

Causes of Carryover

新型コロナウィルスの世界的流行により、参加を予定していた複数の国際学会が中止・延期になった。また、実施を予定していた現地調査も渡航困難と現地での感染拡大防止のために中止となり、次年度使用額が生じた。
2021年度中に渡航が可能となった場合には、予定通り国際学会への参加や現地調査の費用として使用する。年度内に海外渡航が難しい場合には、代替的に分析するためのデータセットの購入費用などとして使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2021 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Revisiting suicide rate during wartime: Evidence from the Sri Lankan civil war2020

    • Author(s)
      Takeshi Aida
    • Journal Title

      PLoS ONE

      Volume: 15(10) Pages: e0240487

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0240487

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] Regional Disparities in Subjective Well-being: A Spatial Econometric Approach2021

    • Author(s)
      會田剛史
    • Organizer
      中央大学リサーチワークショップ
    • Invited

URL: 

Published: 2021-12-27  

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