2023 Fiscal Year Annual Research Report
Poverty Trap: A Behavioral Development Economics Approach
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18K12786
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
會田 剛史 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (40772645)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 主観的厚生 / 空間計量経済学 / 契約栽培 / ピア効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、貧困と行動経済学的要因との間の相互依存関係である「貧困の罠」について、フィールド実験とミクロ計量経済学の手法を組み合わせたアプローチにより分析するというものである。これについて、今年度は主に以下の点について研究を進めた。 (1) 南アフリカのデータを用いた主観的厚生指標の空間計量経済学分析論文について、査読コメントに基づいて論文の改訂を行なった。主観的厚生に関するデータ分析については、近年分析手法面で大きな進展が見られている。この知見を考慮しつつ、すでに得られている分析結果の頑健性の確認や、先行研究の整理を改めて行なった。この成果については、改めて学術ジャーナルに投稿した。 (2) カンボジア・カンポット県における胡椒の契約栽培に関する実証研究を行なった。発展途上国の農家と先進国の企業との間の契約栽培は、グローバルバリューチェーンの観点からも近年注目度の高い研究テーマである。多くの先行研究が契約栽培と農家の経済厚生との関係を分析しているが、経済学的にも重要であるはずの農家の契約履行問題については十分な研究が行われてこなかった。本研究はもともと別の研究プロジェクトとして実施した、行動経済学的選好パラメータの計測を含む農家家計調査のデータを分析することで、農家間の契約不履行の行動に空間的な正の相関関係が存在することを示した。現在は共同研究者と共にこの分析結果を論文としてまとめている段階であり、近く学術ジャーナルに投稿する予定である。
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