2023 Fiscal Year Research-status Report
Comparative Study on Gender Differences of Decision Making and Human Capital Accumulation Related to Scholarship and Student Loan
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18K12799
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
萩原 里紗 明海大学, 経済学部, 准教授 (40754362)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教育機会の不均等 / 教育格差 / 雇用格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
在留外国人の増加に伴い、日本人の子どもと日本で暮らす外国人の子どもとの間の教育格差が問題となっている。先行研究において、格差拡大に影響する要因については数多く挙げられているものの、どの要因が最も格差を拡大するものなのかといった議論は進んでおらず、政策を行うにも、優先すべき政策が定まらず、効果が出にくくなっている懸念がある。 本年度の研究では、日本人の子どもと外国人の子どもとの間の高校進学格差に、どのような要因が影響するのか、影響する要因のうち最も格差を拡大するものは何かを明らかにした。分析には、総務省の「国勢調査(2010年度)」と非線形モデルに応用した要因分解を用いて、日本人の親を持つ子どもと外国人の親を持つ子どもの間において、高校進学にはどのような要因が影響を及ぼしているのか、影響する要因のうち格差を拡大する要因は何なのか、また、高校に進学できなかった場合、外国人の親を持つ子どもはどのような状態にあるのかについて確認を行った。この研究では、進学格差の要因について、日本での在住期間、親が漢字圏出身かどうかといった移民背景に関する要因と、親の就業形態、住宅所有といった経済的要因に着目し、その他、居住地域や兄弟姉妹数などの要因も考慮して格差の要因分解を行った。 この研究は、今後さらに増加することが見込まれる在留外国人の子どもに対する教育機会の不均等を明らかにするものであり、奨学金が果たす役割の拡充に関する議論を提供するものである。なお、この研究に関する論文はAsian Economic Journalに掲載された。 この他、本年度の研究では、日本における結婚・出産・就業による幸福度の男女格差についての研究、日本人女性と在留外国人女性のワークライフコンフリクトに関する比較研究を行い、書籍やディスカッションペーパーとして発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の達成度を上記のとおり評価した理由として、以下の点が挙げられる。本年度は、産前産後の休暇、育児休業の取得のため、研究を進めることができなかった。このため、補助事業期間延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
休業以前に構築したデータおよび推定プログラムを用いて、研究再開以降はジャーナル投稿用に論文を執筆する。研究再開以降に得られた結果を取りまとめ、学会などでの成果発表も同時に行い、そこで得られた知見を論文の改訂に活用し、ジャーナルへの投稿を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は、産前産後の休暇、育児休業を取得したため、次年度に繰り越しを行っている。次年度も引き続き、繰越金を含めた研究費を活用し、主に海外ジャーナルへの論文投稿を行っていく予定である。その際には、本年度に比べて英文校正費や投稿料などの面で支出が増えることが予想される。また、執筆した論文に対して国内外の研究者からのコメントを求めることも必要となることから、学会などでの研究発表に必要な旅費や参加費などの支出に研究費を使用していくことを計画している。
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