2023 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical Analysis of Domestic Economic Disparity and the Sustainability of Interregional Tax Coordination
Project/Area Number |
18K12805
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
須佐 大樹 立命館大学, 経済学部, 准教授 (30759410)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 租税競争 / 租税協調 / 経済格差 / 貿易協定 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績については,主に以下の4つにまとめられる. 1)国内経済格差と輸送費用の存在に着目した,貿易協定の協調・締結形態の厚生評価および政治的実現可能性に関する研究: 地域間貿易協定の締結形態は,関税同盟・自由貿易協定・最恵国待遇の3タイプがあるが,国内経済の格差の程度と財の輸送費の大小によって,それぞれの制度下での厚生水準と間接民主主義制度下での実現可能性について検討した.本研究については,ワーキングペーパーとしての公開を経て,2024年4月時点で査読付き国際専門誌に採択され,公開された. 2)国内経済の物的資本および人的資本の格差と租税協調維持可能性に関する研究:一国内の経済格差は,物的資本保有量と人的資本保有量の2タイプの格差に基づくものが存在することに着目し,このそれぞれが2国間の資本課税率の協調行動とその維持可能性にどのように影響するかについて検討した.本研究については,残された複数の諸課題をクリアした後に,公開予定である. 3)租税競争環境下における選挙実施実施タイミングの意思決定に関する研究:議会の解散権を持つ現職政治家が解散総選挙実施のタイミングを租税競争環境下で意思決定することを内生化し,経済格差の大きさおよび現職政治家の資本保有量の影響について考察した.本研究については,ワーキングペーパーとしてまとめられ2023年12月時点で公開された. 4)政治関心に格差に基づく所得バイアスが存在する下での,租税競争の政治参加への影響に関する研究:所得水準に応じて政治参加の程度が異なることに着目し,特に貧困層の選挙を通じた政治的な意見表明行動がグローバル化のいち側面である租税競争にどのように影響されるかについて検討した.本研究については,ワーキングペーパーとしてまとめられ2023年度10月時点で公開された.
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