2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K12813
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 愛 神戸大学, 経済経営研究所, ジュニアリサーチフェロー (20813471)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 契約理論 / 報酬契約 / 創業者 / 株価連動型報酬 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのところ、以下のような理論モデルを想定して、短期の報酬契約かあるいは長期の報酬契約かあるいはその混合形態がいいのかという問題、および、報酬契約の最適な付与期間と報酬開始までの期間がどうなるかという問題に関して、定性的な結果および数値計算による定量的な結果を得るためのモデルを構築している。 構築した理論モデルでは、投資家と創業者(兼CEO)がおり、投資家が創業者に企業経営を委託して投資を行わせて生産物を生産させる。企業の生産物としては、観察可能で契約可能な生産物、および、観察可能ではあるが契約に書くことができないという意味で立証不可能な生産物という2種類の生産物がある物とする。各生産物の生産過程は独立していてそれぞれ投資が必要である。ただし、各生産過程での投資量は観察可能ではあるが立証不可能であるものと仮定し、2期間モデルを想定する。 各生産物の生産過程での創業者の投資は企業利益に影響を与えて投資家の収入に大きな影響を与える。その一方で、投資家は創業者の行う各生産過程での投資に直接影響を与えることができない。そのため、創業者に対する報酬契約をうまくデザインして創業者の行う各生産過程での投資水準を投資家にとって最適な水準に決めてやる必要がある。この目的のために、投資家は短期の報酬契約と長期の報酬契約のいずれか、あるいは、両者の組み合わせを創業者に提示する必要がある。短期の報酬契約及び長期の報酬契約のどちらのタイプも、企業のパフォーマンスから独立な固定報酬型のものになる可能性と企業のパフォーマンスと連動した株価連動型のものになる可能性がある。また、後者の株価連動型の場合には報酬の付与時点が企業のパフォーマンスに応じてどのように決まってくるかという問題も解くことになり、企業のパフォーマンスに応じた最適な付与期間を決定することが可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論モデルをうまく組み立てることができ、理論的結果もある程度まで予想できるので、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、理論モデルを定性的に解いて、報酬契約を内生的に決定していく。さらにできれば、数値計算例も組み合わせて、説明をよりわかりやすいものにしたいと考えている。とくに定性的な結果を得るのが難しい場合には、数値計算による定量的な結果で補完していきたい。 また、報酬契約のみならず、負債契約などにもモデルを拡張できないかどうか考察中です。モデルの拡張も進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)