2018 Fiscal Year Research-status Report
企業金融理論のフロンティア: 動学ゲーム・契約理論に基づく証券選択の基礎づけ
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18K12820
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
笠原 晃恭 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (50811410)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コーポレート・ファイナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は当初に提出した研究計画に基づき、企業の資金調達に関する動学的な経済モデルを構築し、そのモデルに基づくシミュレーション作業を行った。この動学的な経済モデルにおいて、節税と倒産の回避を主なインセンティブとするトレードオフ理論に基づいて構築されている。企業は取引コストを考慮に入れつつ、収益性の変動に対して株式と負債の比率を調整していく。シミューレションにおいては、実際のデータから推定されたパラメータを用い、現実に観察される企業の資金調達の頻度を再現することに概ね成功した。更にこのモデルに税制の変化を組み込むことで、過去の税制変動に対して観察された、企業の株式・負債比率の変化を説明することに成功した。この研究成果を国際ジャーナル(The Journal of Financial Economics)に投稿したところ、レフリーからの要望修正を加えた上で、出版することが決定した。更に日本経済学会や日本ファイナンス学会など、各種の関連学会でこの研究成果を報告した。今後の研究を進めていく上で、資金の出し手である投資家の期待リターンを現実のデータに照らし合わせて深く理解することが必要だとの結論に至ったため、それに必要な各種の経済データや、関連文献のサーベイ及び実証分析の手法に関して準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に記した通り、研究成果を国際ジャーナルに投稿しており、また各種学会で報告しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては、研究計画をやや修正し、企業にとって資金の出し手である投資家サイドの期待リターンを現実のデータを用いて、より精緻に求めていく。これは、企業にとって最適な資金調達を議論するに当たって、投資家の期待リターンが時間変動する要因を理解することが必要不可欠であるからである。
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Causes of Carryover |
予定していた学会発表に関して、他の研究予算より支出することが可能となったため次年度使用額が生じることになった。この分は主としてリサーチアシスタントの雇用に用いる予定である。
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Research Products
(5 results)