• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2018 Fiscal Year Research-status Report

第二次世界大戦前のイギリスにおける難民庇護と労働許可に関する歴史的制度研究

Research Project

Project/Area Number 18K12822
Research InstitutionUniversity of Hyogo

Principal Investigator

齋藤 翔太朗  兵庫県立大学, 経済学部, 講師 (20807698)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords外国人 / 移民 / 入国管理制度 / 第一次世界大戦 / 総力戦体制
Outline of Annual Research Achievements

当初の研究計画に従い、2018年度中は両大戦間期を通じて入国管理制度の基本法であった1919年外国人規制(修正)法の成立過程について調査・検討した。収集・分析した史料は、第一次世界大戦終結後の外国人の取り扱いについての政府文書、特に1919年外国人規制(修正)法案に関する議会審議記録および内務省文書である。戦時から平時へ回帰するなかで、外国人の様々な自由を制限することが「国家の権利」(当該国家の主権的権利)としていかにして肯定(あるいは否定)されていたのかを検討した。
文書を分析した結果、法案の審議過程における庶民院議員の発言には、「敵性外国人」と位置付けられたドイツ人に対する根強い「反ドイツ感情」が見られ、戦時下において拡大・強化された内務大臣の「非常権限」を戦後も継続し、制度的な問題点など改良の必要性に応じて強化することも提案されていた。その一方、19世紀以来の伝統的な「自由主義」の理念に基づき、戦前よりも飛躍的に拡大・強化された「非常権限」の継続に対する危機感も表明されていた。申請者のこれまでの研究と合わせると、このような「介入」と「自由」の対抗性はイギリスの入国管理制度史において一貫する論点であったことを確認することができた。
基本法である1919年外国人規制(修正)法の成立過程における論点を確認できたことで、仮説的であるとはいえ、今後さらに研究を進めるべき労働許可制度と「庇護権」の研究への足掛かりとなる視点を設定することができた。この点は、イギリスの入国管理制度史(移民史・移民政策史)の研究分野だけではなく、第一次世界大戦期の「総力戦体制」の解体(あるいは存続)という点でも示唆に富むと考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2018年度中に実施した国外での史料調査(イギリス国立公文書館等)に加え、国内での史料調査(東京大学総合図書館等)によって、1919年外国人規制法の制定過程および実施過程に関する史料はほぼ網羅的に入手することができたと考えられる。調査の過程では今後の研究に必要な史料も一部入手することができた。特に1920年外国人令の成立過程に関する内務省文書は2019年度中に遂行する研究において使用される予定である。
さらに、2018年度の研究において、1919年外国人規制(修正)法案の審議過程を検討したことで、イギリスの入国管理制度史において一貫する論点を確認することができたことは、今後の研究を展望するうえで大きな収穫であると考えられる。すでに収集した史料については読解を進めており、2019年度中に学会および研究会において報告するほか、論文の刊行を予定している。
以上の2点により、上記のように評価した。

Strategy for Future Research Activity

当初の研究計画に従い、2019年度中は1919年外国人規制(修正)法を補足した1920年外国人令の成立過程と実施過程について検討する計画である。1919年外国人規制(修正)法は入国管理の基本的な理念と制度を形作るものであり、1920年外国人令によって具体的な規定がなされ、実施された。1920年外国人令では、パスポート所持の義務化に加え、特に入国許可の条件のひとつとして国内で就業を意図する場合には労働省の発行する労働許可証の所持が義務付けられている。1920年外国人令の規定は両大戦間期中の数度の修正を経て第二次世界大戦後に至る。
2019年度中は1920年外国人令の成立過程と実施過程に関する史料を収集・分析する。具体的にはイギリス国立公文書館に所蔵されている内務省文書を利用する。すでに入手した史料もあるため、研究遂行上の困難はほぼ存在しないと考えられる。必要に応じて補足的に史料調査を実施する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] イギリス移民政策史研究の関心と課題,そして方法2018

    • Author(s)
      齋藤翔太朗
    • Organizer
      経営史学会関西部会

URL: 

Published: 2019-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi