2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on British Railway Engineers: Focusing on Competitiveness, Cooperation, and Networking between Engineers
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18K12830
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
冨田 新 帝塚山大学, 経済経営学部, 准教授 (50611810)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イギリス鉄道 / 鉄道技術者 / 技術者ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、イギリス鉄道技術者のデータベース構築を通して、その関係性・ネットワークを明らかにし、彼らのルーツと役割・業績・影響力について、鉄道業の生成・発展との関連の中で再評価することを目的としている。 今年度は、主に18世紀から20世紀にかけての鉄道技術者600名(推定)のデータベース構築を目指していたが、現在までに18世紀から19世紀後半までの技術者およそ450名について入力を終えているところであり、引き続き残りの技術者情報についても入力を進めている。本研究を通じて、初期鉄道が生成する18世紀後半から19世紀初頭にかけては運河建設などを中心とした民間土木技師ネットワークの役割が大きかったが、1810年代以降特にイングランド北東部炭田を中心とする高圧蒸気機関をベースとしたあらたな機械技師ネットワークが重要な役割を果たすようになることが明らかとなった。そして、民間土木技師と機械技師ネットワークは、時に排他的・競争的である一方、協調的な側面も有しており、その関係性は極めて複雑であったと言える。 また、本研究に関連して、イギリス鉄道や技術者に関連するサーベイ論文を執筆中であり、この成果については本年9月ごろに発行予定の学術誌『鉄道史学』に掲載が決定している。 本研究は、鉄道技術者の競争と協調という二つの視点に着目し、産業革命期以降の技術者でマクロレベルの大発明を担った発明家・技術者だけでなく、これまであまり重視されてこなかったミクロレベルの標準的発明家・技術者についても網羅し、鉄道業に関する知識・技術の普及とそれを可能にした社会的・人的資本ネットワークの形成・発展から明らかにしようとするもので、日本や諸外国で活躍したイギリス人技師を含めてグローバルな視点から分析を行い、よりダイナミックな人的資本の動きを明らかにしようとするところに意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、18世紀から20世紀にかけての鉄道技術者のデータベース構築を主に目指していたが、当該期間における鉄道関連技術者はおよそ600名(推定)にものぼり、彼らの氏名・誕生年・死亡年・出生地・主な職業・親の氏名と職業、教育、徒弟制度利用状況、調査・計画立案・建設・監督等に関与した鉄道会社名と肩書および期間、特許取得状況、出版物、パートナー、その他関連情報について、それぞれの情報を英文文献からひとつずつ拾い、確認して、入力していくことにかなりの時間を要しており、当初予定していた予定の範囲を終えることができていない。現在までのところ、18世紀から19世紀後半までの技術者約450名については入力を終えているが、残りの19世紀後半から20世紀初頭にかけてのおよそ150名の技術者については、引き続き整理・入力を進めているところである。また、内容には大きく関係しているものの、イギリス鉄道史に関するサーベイ論文の執筆に時間を要し、幾分の影響があったと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、2018年度の目標であった18世紀から20世紀にかけての鉄道技術者およそ600名(推定)のデータベース構築について、2019年6月末を目途に完成させることが必要である。彼らの氏名・誕生年・死亡年・出生地・主な職業・親の氏名と職業、教育、徒弟制度利用状況、調査・計画立案・建設・監督等に関与した鉄道会社名と肩書および期間、特許取得状況、出版物、パートナー、その他関連情報について入力を進め、さらに確認・整理作業を行う。 次に、2年目の課題として、構築したデータベースを基に、Oxford Dictionary of Biographyや技術者の各種伝記など二次資料も用い、従来の評価を整理する。また、これまでに英公文書館や国立鉄道博物館等において収集した史資料をもとに、鉄道業の生成・発展の中での彼らの業績と役割について再評価を試みる。この際、必要に応じて適宜イギリスおよび国内の公文書館、図書館等において追加の史資料収集を行い、評価がより正確となるようにする。 本研究は、鉄道技術者について、競争だけでなく協調の視点からも考察することで、これまでの競争の観点から執筆された個別技術者の業績や評価ではなく、イギリス土木学会や機械技術者協会などを通じた公式ネットワーク、また徒弟制度や個人的なつながりを通じた非公式のネットワークにも目を向け、マクロレベルからミクロレベルの発明家・技術者の関係性・ネットワークについて明らかにし、鉄道技術者のルーツ・業績・影響力について鉄道業の生成・発展との関連の中で再評価する。 さらに、これまでの研究成果をまとめ、イギリス鉄道技術者の関係性・ネットワークや彼らの業績・役割の再評価についての学会報告を行い、学術誌への投稿あるいは紀要論文の執筆を行うことを通して、研究成果を示すこととする。
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