2019 Fiscal Year Research-status Report
The Relationship between Organizational Survival and Organizational Routine
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18K12833
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
野口 寛樹 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (70735951)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非営利組織 / 高齢者 / 組織ルーチン / 組織存続 / 標準化 / カスタマイゼーション / 資源蓄積 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和1年度は,平成30年度の研究成果を元に,組織存続に影響を与える組織ルーチンを参照して生じる多様な仕事実践を具体化するデザイン原理特定のため,先行研究のレビュー,またインタビュー調査,そして質問紙調査のデザイン・準備を行った。 まず先行研究のレビューに関わる,理論的な側面であるが,組織存続に関わり,「探索」と「活用」の両立を可能とする組織ルーチンの構築(デザイン原理の追求)を考える中での,非営利組織における資源蓄積について,検討を行った。 ボランタリーな活動を主に行う組織の資源蓄積,すなわち,どのような組織成員を質的にまた量的に参加させていくのかについて,諸理論を検討しながら,ボランティア性をもつ組織成員の要求とクライアントの要求の相互関係について考えた。それは,非営利組織のサービス提供に関わる標準化とカスタマイゼーションの視点から,お互いの要求を統合することにより,資源蓄積の基礎となる理論的枠組みを提示することとなった。結論として,ボランタリー組織のクライアントに対するサービス提供を検討するに,資源蓄積の基礎には,組織成員とクライアント関係において,1標準化とカスタマイゼーション,2互いに標準化されている,3カスタマイゼーションと標準化,4個別対応関係,の4つのパターンがあることを示し,ボランタリー組織の資源蓄積,つまり組織存続について含意をもたらした。 続いて,インタビュー調査,そして質問紙調査のデザイン・準備についてである。平成30年度調査の限界から,また平成30年度の調査では,本研究の検証のための変数を特定したとは言いがたかったため,令和1年度は,調査対象をひろげ,山形県や新潟県,栃木県の高齢者によるNPOの運営状況について確認をした。その中で,栃木県シルバー大学校等にインタビュー調査を行った。以上をもとに,質問紙調査のデザイン・準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目の令和1年度は,平成30年度の活動を受け,質問紙調査を行う予定であった。しかし,変数の確定までにいたらず,質問紙調査を実施することができなかった。 平成30年度調査結果より得られた結論は,他高齢者が主な成員ではない非営利組織と比較する中で,どこに特殊性があるのか,つまり調査からは組織存続に関わるデザイン原理を検討する中での,高齢者としての特殊性(加齢効果等)が引き出せていない等の限界が存在した。 そのため,令和1年度はインタビュー調査をさらに行い,定量的なアンケート調査に耐えうる,変数の整理とモデルの検討を行った。その中で,当初福島県における,福祉サービスを対象とした質問紙調査を検討していたが,インタビュー調査を進める中で,調査対象のサンプルサイズが十分に確保できない可能性が高いことが判明した。そのため,令和1年度は,調査対象をひろげ,山形県や新潟県,栃木県の高齢者によるNPOの運営状況について確認をした。その中で,栃木県シルバー大学校等にインタビュー調査を行った。 一方内閣府でも,「エイジレス・ライフ実践事例」及び「社会参加活動事例」を集め,表彰をしていることがわかったため,以上のデータを入手・整理し,アンケート調査対象組織のリストを作成するなど,アンケート調査の実施に至る前段階の準備を行うことができた。 また,アンケート調査実施に関わり,資源蓄積に関する先行研究を検討したことから,リサーチデザインを再検討する結果にもなったため,当初令和1年度に実施を予定していたアンケート調査の実施が遅れている状態である。内閣府における,「エイジレス・ライフ実践事例」及び「社会参加活動事例」の入手・整理も行っている。より本研究の調査対象として適した,質問紙調査の設計に変更することができる可能性があるため,研究上は意義のある変更であったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,令和1年度までの研究で得られた知見の補完,補強を行うため,インタビュー調査を行いつつ,(1)組織存続に関わり「探索」と「活用」の両立を可能とする組織ルーチンの構築(デザイン原理の追求)と(2) 組織ルーチンが,組織存続に与える影響,つまり(令和1年度までの研究によれば)組織存続に関わる組織ルーチンのデザイン原理の一般化を検討し,組織存続と組織ルーチンの関係について探索的にまとめたい。 令和1年度の研究で,ボランティア性をもつ組織成員の要求とクライアントの要求の相互関係を元にした,ボランタリー組織のサービス提供に関わる標準化とカスタマイゼーションの視角を検討した。以上から,(1)組織存続に関わり「探索」と「活用」の両立を可能とする組織ルーチンの基礎となる視点(デザイン原理)を検討しており,また,(2) 組織存続に関わる組織ルーチンのデザイン原理の一般化について,インタビュー調査から組織存続に影響を与える組織ルーチンを参照して生じる多様な仕事実践を組織化するためのデザイン原理の特定をすすめている。令和2年度は,以上を統合した,アンケート調査実施,検証を行うことが目的である。 しかしながら,COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響をうけ,本研究の調査対象たる高齢者への調査が難しくなっており,またCOVID-19の収束が見えていない。加えて以上の影響から,参加を予定している学会,社会還元事業等も軒並み延期をしており,令和2年度の研究実施は厳しい状況だと思わざるを得ない。そのため,他利用可能なデータの入手(購入),入力等も検討し,研究を進める予定である。
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Research Products
(1 results)