2018 Fiscal Year Research-status Report
主体的キャリア形成と組織エンゲージメントの関係に関する実証研究
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18K12844
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Research Institution | Miyazaki Municipal University |
Principal Investigator |
市村 陽亮 宮崎公立大学, 人文学部, 助教 (80811116)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 主体的キャリア / 日米比較 / well-being |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究成果は、研究を進める方向の再設定および一部調査の実施、次年度の調査の準備が進められたこと、である。当初の計画においては、30年度は先行研究の検討を中心に進め、調査の準備を進めることとしていた。よって、本年度は当初計画通りに進行していると言える。 ただし、進捗の面では当初計画通りであるが、内容については変更があった。当初計画においては、主体的キャリア形成と組織エンゲージメントの関係について包括的に把握するモデルの構築を目指していたが、この方向性を改めることとした。この変更後の内容について記載する。 以後の研究の方向性として、主体的キャリア形成とwell-being(幸福)の関係を中心に取り扱うこととした。昨今、キャリアは個人によって主導され構築されるものと言われており、この考え方が主流となっている。これは、一般に新自由主義と言われる考え方に強く影響を受けたキャリア観であると言えるだろう。しかし、近年になって、その考え方そのものに対して、疑義が呈されるようになってきている。例えば大屋(2014)は「個人の自由=自己決定=幸福という一連の一致」は成立していないことを論じている。一方のキャリア論においては、主観的なキャリアサクセスの議論を出すまでもなく、自己決定によるキャリア形成と幸福の一致を前提とした議論が根強い。よって、本研究はこの根本を問う研究となることを企図している。また、オンラインサービスを用いて、米国在住者のデータも取得し、日米比較を通じて、国という文脈がもたらす影響についても探索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記と重複するが、内容の変更はあったものの、平成30年度は、研究を進める方向の再設定および一部調査の実施、次年度の調査の準備を進めることができた、である。当初の計画においては、30年度は先行研究の検討を中心に進め、調査の準備を進めることとしていた。よって、本年度は当初計画通りに進行していると言える。 一部調査の実施、とは、日本国内向けの調査であり、これは他の研究者の協力を得て、無償で実施することができた。そのため予算費消にはなっていないが、300名ほどのデータを取得している。 調査の準備についてだが、米国のデータ収集のために、自身で開発していた尺度をダブルトランスレーションを用いながら、英語への翻訳が終了しており、現在、アンケート全体の設計と作成を行なっている。アンケート実施の方法についてもすでに決定しており、計画通りに本年度に調査へと移行することができるだろう。 ただし、概要にて示したように、研究の方向性が再設定されたことで、当初計画では質的な調査を行うことが予定されていたが、量的な調査へと変更されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、8月までに現在作成中のアンケートを作成し、米国でのデータ収集に取り掛かることが当面の目標となる。そのために、①アンケートの作成、②パイロット調査の実施、③アンケート再検討、④本調査実施、のステップで進める予定である。5月中に①、6月中に②と③を行い、7月以降に④の実現としたい。 順調に進んだ場合、データが揃うため、分析の作業を行い、可能であれば、学会報告という形でひとつの成果として今年度に発表することも目指したいと考えている。早ければ、今年度末の2月や3月に学会発表を行い、多くの研究者から意見を頂戴したいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた最大の理由は、研究方針の転換によるものである。当初計画では、今年度は理論的検討と同時にインタビューなどを行う予定にしており、そのための旅費や謝礼を計上していたが、方針転換に伴って、これらを実施しなかったため次年度使用額としてスタックすることとなった。 しかし、この点については全くネガティブなことではなく、次年度使用額が生じたことで、米国におけるデータ収集をよりリッチに実施することができるようになっている。 使用計画であるが、今年度(令和元年)は、データ収集に多くの予算を費消する予定である。実際にかかる費用はパイロット調査を経て決定するが、おそらく50万円から60万円ほどを投じることになるだろう。そうすることでサンプル数を豊富に取得することができ、またパネルデータを得ることも期待できる。
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