2020 Fiscal Year Research-status Report
主体的キャリア形成と組織エンゲージメントの関係に関する実証研究
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18K12844
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Research Institution | Miyazaki Municipal University |
Principal Investigator |
市村 陽亮 宮崎公立大学, 人文学部, 助教 (80811116)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 主体的キャリア / 行為 / コントロール |
Outline of Annual Research Achievements |
研究のキー概念となる、独自に作成した概念に対し、研究会を通して見直す必要が出た。そのため、調査や発表といった対外的な活動ではなく、文献研究を行った。その結果、キャリアにおける主体性を捉えるうえで、主に哲学及び心理学の分野で議論されている行為論とそれに関連するコントロール知覚が有用である可能性を見出した。 哲学における行為論では、特にブラットマンによる議論に注目している。ブラットマンは現代の行為論の主要な論者であり、「意図の計画理論」と呼ばれる理論を提示している。キャリア形成は、長期的な「計画された行為」とみなすことが可能であり、キャリアにおける行為性を計画や内省から捉える可能性が考えられる。ただし、ブラットマンをそのまま適応することは難しい。なぜなら、キャリア形成に関連する行為と関連しない行為を明確に切り分けることは困難であり、また容易に想像できるようにキャリア形成は計画された行為によってのみ構成されているわけではないからである。しかし、こうした行為論は、キャリア形成における主体性を捉えるうえで、有用となるであろう。なぜなら、行為論では、「まさにわたしが行った行為とはなにか」を論じているからである。 行為論と関連する議論としてのコントロール知覚は主に認知心理学や分析哲学にて議論されている。自身の行動を自分がコントロールできているとどの程度感じているかに関わる知覚である。本分野におけるレビューはまだこれからだが、引き続き行為論と同様にキャリア形成における主体性を捉えるためにレビューするうえで、有力な候補であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
率直に言って、進捗は遅れていると言わざるえない。キー概念の見直しであることから、この課題を乗り越えないと次のステージに進みにくい状況である。しかし、ここでこの問題をおざなりにするわけにはいかないことから、急がば回れで取り組みたい。 また、一方で、キャリア形成の主体性そのものの捉え方の検討を続けつつも、研究成果を出すべく、代替案の検討を現在行っている。詳細については、次の推進方策にて記述する。
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Strategy for Future Research Activity |
キー概念の検討は続けていくが、研究成果を出すべく次のことを実施していきたい。それは、主体性に類似した概念の活用である。具体的にはキャリアアダプタビリティを用いた調査を実施し、その調査結果をもとに学会報告、論文作成を行う。 本研究に関連したテーマにて、別の研究者と共同することが決まっており、そこでの活動は本研究の調査実施、分析を前進させることになると考えられる。8月ごろの投稿を目指して活動していく予定である。
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Causes of Carryover |
先に記したように、昨年度は、文献による調査を行っていたこと、また学会や研究会への参加は新型コロナウィルスの影響によってすべてオンラインとなったため、費用が発生しなかったことによって使用が発生しなかった。 本年度は、追加調査の実施を行いとともに、学会での発表、海外への論文投稿を行うことからネイティブチェックなどが行われる予定である。
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