2021 Fiscal Year Research-status Report
主体的キャリア形成と組織エンゲージメントの関係に関する実証研究
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18K12844
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Research Institution | Miyazaki Municipal University |
Principal Investigator |
市村 陽亮 宮崎公立大学, 人文学部, 准教授 (80811116)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 主体的キャリア / キャリアの責任 / キャリアの依存 / 組織的支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織による支援が、従業員のキャリア形成に対する責任に与える影響について、日米のデータを比較する研究を行い、その結果を、Academy of International Businessのアジア大会において発表を行った。また、その発表応募した際に、セッションの座長も務めた。 本調査では、組織による支援とキャリア形成に対する責任の関係が、文化的な影響を受ける可能性が示唆された。具体的に見出した発見事実は以下である。①組織による支援の知覚は米国と日本で異なる。日本においては、「気遣い(care)」「安心(safty)」「職の安全(job security)」の3次元であったが米国においては「気遣い(care)」「安心(safty)」の2次元出会った。②日米で組織による支援がキャリアに対する責任に対する影響が異なっていた。日本においては、3次元すべてがキャリア形成の責任に影響しており、careとjob securityが責任を促進する一方で、saftyは有意に責任を抑制していた。一方、米国では、careのみが有意に責任を促進していたがsaftyは影響していなかった。③日米でキャリアモチベーションへの支援の影響に大きな差異がなかった。careは日米どちらにおいてもcareer motivationを高める直接効果があり、日本ではjob securtyが米国ではsaftyがcareer motivationを抑制する効果を有していた。 以上の結果から、組織の支援によって、日本では責任の抑制、つまりキャリア形成における依存が生じる一方で米国ではそれが起きないことが明らかとなった。これは、文化差がひとつの要因として考えられる。 こうした結果を、グローバルに向けて発表しえたことは、ひとつの成果と言えるだろう。 また紀要ではあるが、上記とは別に組織における中心方向の移動がキャリア・アダプタビリティに与える影響についても検討し、投稿している。これはパネルデータによって行われており、次年度の研究の礎となりえる成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に研究計画を大幅に見直したこともあり、遅れていたが、昨年度に海外での学会発表を行うこともでき、研究の成果を出すことが出来つつある。 また、今年度の調査、及び海外学会での発表や紀要への投稿を通じて、研究の方向性が固まっていることから、概ね順調と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度についてもさらに調査、分析を継続し、海外ジャーナルへの投稿、発表も視野に進めていきたい。また、先んじて、今年度の調査結果を用いて国内ジャーナルへの投稿も行う予定である。 まず、6月末を目処に、国内ジャーナルへの投稿を実施し、年内の掲載を目指す。同時に、MTurkを用いたデータ収集を行い、2waveないしは3waveのパネルデータを取得予定である。それらを用いた、学会での報告、可能であればジャーナル投稿を年度内に目指したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの蔓延に伴って、各種学会がオンラインに移行したこと影響が大きく、 海外学会への渡航などを行わなかったために次年度使用額が発生している。 今年度に大規模な調査(2~3waveのパネル調査)を実施することで、今後の学術貢献に寄与すべく費消したいと考えている。
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Research Products
(2 results)