2021 Fiscal Year Annual Research Report
The results and future research of open innovation after the internationalization of Japanese firms
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18K12846
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
澤田 直宏 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (00457847)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オープンイノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究では主に国内市場におけるオープンイノベーションの効果の分析が行われた。本研究では国内市場だけでなく先進国市場と新興国市場を含む海外市場での効果の分析を行う。また,情報漏洩対策および公式の戦略的提携を実施した際のオープンイノベーションの効果についても分析を行った。本研究では各市場で現地企業との交流を行っている日本企業のデータを活用した。 本研究の結論は以下のとおりである。オープンイノベーションは国内市場の研究開発(R&D)にプラスの効果をもたらす。また,情報漏洩対策が行われている場合にのみ,先進国市場でのR&Dパフォーマンスに対してもプラスの効果を有することがわかった。ただし,たとえ情報漏洩対策を導入していたとしても新興国市場では効果がなかった。さらに,公式な戦略的提携を実施している場合,新興国市場ではR&Dパフォーマンスにむしろマイナスの影響を及ぼしていることも判明した。つまり,新興国市場では情報漏洩の影響および情報漏洩対策のコストも勘案した場合,オープンイノベーションによる情報獲得の効果が相殺されて却ってマイナスになることが判明した。 以上の分析から導き出されるインプリケーションは以下のとおりである。オープンイノベーションの効果は現地の知的財産保護制度の堅牢性に大きく影響を受ける。このため進出先の知的財産保護制度を分析・理解したうえで慎重にオープンイノベーションを実施する必要がある。特に新興国市場の場合,自らの知的財産を保護するためには社内での情報漏洩対策および公式の戦略的提携だけでは不十分であり,資本提携による交流先の資本の獲得,またはM&Aによる交流先に対する完全な所有権の獲得等の施策が必要となる可能性がある。
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Research Products
(2 results)