2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K12855
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
高橋 大樹 武蔵野大学, 経営学部, 准教授 (50780946)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 経営学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、論文・書籍の引用データを用いた定量的アプローチを用いて、これまで実現しえなかった網羅的な学説史研究を展開する手法を確立することにある。既存のレビュー研究は、少数の重要な研究を探求する定性的アプローチで行われてきた。しかし、このアプローチには、取り上げる文献の客観性や網羅性という観点で不十分な点がある。 本研究は、既存の定性的アプローチの弱点を、統計処理可能な引用データを用いた定量的なアプローチを新たに併用することで補うことを意図したものである。こういった方法が確立できれば、各国の主要雑誌のデータを用いた国際比較研究や、大規模な学説史研究につなげることもでき、今後の発展も多いに期待される研究だと考えられる。 本年度では、前年度に引き続き、どの研究領域の知の構造を今後解き明かしていくかの探索とそのためのデータベース作成を行った。現在、Web of Scienceに収録されている主要な学術雑誌の過去数十年分の要約、キーワード、引用、被引用データ等のデータベースを構築中である。 なお、データベースの作成が完了次第、以下の2つの分析を開始したい。一つは、特定の研究領域の発展プロセスを議論する研究である。分析対象としては「ビジネス・エコシステム」と呼ばれる領域を検討中である。その理由としては、当該領域に関して近年注目が集まっていること、そうであるにもかかわらず未だに学問領域としての全体像が把握されていないことなどがあげられる。もう一つは、リサーチストリームの国際比較研究である。経営学の分野ではかねてより、地域ごとにリサーチストリームの違いが存在していることが指摘されてきた。しかしながら、被引用文献等の客観的なデータを元にその違いを論じた議論は多くない。そこで、本研究の一環として地域毎の主要な学術雑誌のデータを元に、国際比較研究を実施したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遅れが生じている理由は2点ある。一つは所属研究機関の組織上の理由から当初想定されていたエフォート量が確保できなかったことである。当該事由は少なくとも2021年度まで継続する見込みであるが、可能な限り本研究へのエフォート量を確保できるように努めたい。もう一つの理由は、データベース構築に想定以上の時間がかかっていることである。web of scienceに収録された各論文の引用データに関して、複数のジャーナル間の表記方法の違いから膨大な「名寄せ」作業が生じており、修正処理に時間を要している。この作業は研究結果の精度向上に極めて重要なため、引き続き時間と精度のバランスを考慮しながら作業を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
所属研究機関と連携しながら、RA(リサーチアシスタント)を積極的に雇用することで遅れの解消に努めたい。ただし、2020年4月末の段階では新型コロナウイルスの影響でRA雇用が難しく、また国会図書館でweb of scienceのデータを入手することも困難になっているため、今後情勢を見ながら対応を考えていきたい。
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Causes of Carryover |
研究計画に遅れが生じ、RAの雇用が計画どおり行えなかったために次年度使用額が生じた。次年度はRAの人件費のほか、研究成果発表のための学会参加費等に残額を使用したい。
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