2018 Fiscal Year Research-status Report
チーム共有認識発達メカニズムにおけるリーダーのビジョン提示効果の検証
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18K12860
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村瀬 俊朗 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (30795711)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マネージャー / 認識のズレ / チームワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の実績は以下になる。 組織やチームをまとめるために何が必要かを探るため、文献レビュー、インタビュー、アンケート調査を行った。特に、インタビュー調査から研究の糸口を発見した。ある企業の複数の幹部とインタビューをしている際に、企業の目指すべきゴールや課題の認識に統一性がないことが分かった。幹部ごと違うゴールや課題を重要視していて、お互いの認識にズレがあったのだ。このズレをどのように概念化したらよいか考えるため、過去の文献を探ったが今一つ正しい概念は見つからなかった。そのため、まずは「認識のズレ」を概念化するために、分析をまとめ、尺度開発に乗り出した。 心理学、経営学、社会学、ネットワーク科学の様々な文献をあたり、組織の幹部層が組織を動かすうえでどのようなことを意識しなければならないかを探索した。その中で、組織を取り巻く環境をどのように認識しているかが、組織を動かすうえでは重要とわかり、過去の研究は「マネージャーの環境に対する認識」をどのように測定しているか、想定方法をまとめた。結果、あまり良い測定方法が見当たらなかったため、インタビュー調査から尺度を開発に乗り出した。 インタビューでは、新しいプロジェクトを立ち上げた経験と他の部署のマネージャーと連携を行ったことがある40代以上のマネージャーを中心にインタビューを行った。インタビューを通じて、マネージャーが顧客・マーケット・他社などをどのように考え、どのような部分で他部署のマネージャーと認識にズレがあるかを調査した。そしてインタビューの結果から、質問票を作成した。 2019年7月にポルトガルで行われる国際学会にも、本研究に基づく報告が採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年7月の国際学会での発表や、「認識のズレ」を測定する尺度も完成しつつあり、おおむね良好に研究は進んでいる。加えて、2019年度中に本格的なデータ収集を行える目途が立ったため、研究報告のみでなく、今後は論文発表も高い確率で見込まれている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度では、2018年度に作成した尺度が妥当であるかどうかを検討する。「認識のズレ」尺度は、現時点では残点的な質問項目を含み、また概念を測定するために十分妥当な尺度かはわかっていない。そのため、まずは調査会社に依頼して一般的な企業で働く人からデータ収集を行い、妥当性を検証する。 一度目の妥当性の検証を行った後、再度質問項目の検討を行う。場合によっては、第二回目のインタビュー調査を交え、別の質問項目を作成するかどうかも検討する。 尺度の妥当性を担保後に、特定の企業に調査依頼し、認識のズレがチームワークや業績に対して影響を及ぼすかを検証する。現時点では、国内の企業に依頼をすでに行い、承諾を取り付けている。 また、2019年7月にポルトガルで学会発表を行う。この学会には世界中から第一線で活躍する研究者が集うため、彼らからフィードバックを行い、尺度作成と今後の研究に反映させる。
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Causes of Carryover |
研究環境整備費として、追加で研究費が支給された。この研究環境整備費は3年間の間に消費すればよいと指示されたため、2018年内で使い切らず、2019年と2020年度に必要な機材を購入することにしたため、差額が生じた。
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Research Products
(3 results)