2019 Fiscal Year Research-status Report
イノベーション創発を促進するプラットフォームエコシステムの機能・要件の研究
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18K12874
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井上 祐樹 広島大学, 社会科学研究科, 助教 (80812388)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プラットフォームエコシステム / インクリメンタルイノベーション / ラディカルイノベーション / ビデオゲーム市場 / 宿泊市場 / ビジネスエコシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度の研究計画は、プラットフォームエコシステムのデータ分析を通して、補完者がイノベーションを発生させることができる条件と、エコシステムの参加者の特性ベクトル・嗜好ベクトルを明らかにすることであった。 前者の観点については、ビデオゲーム市場の約20,000件の製品情報・販売データを用いて分析を行った。主な成果は二つある。第一に、プラットフォームエコシステムの環境の影響が、ソフトウェア提供者のインクリメンタルイノベーションとラディカルイノベーションの成功に及ぼす影響の差異を、統計的に示した。本成果は、国際誌Technological Forecasting and Social Changeにおいて査読を受けている。第二に、ソフトウェア企業がインクリメンタルイノベーションを目指す行動、ラディカルイノベーションを目指す行動を統計的にモデル化したうえでシミュレーションを作成し、分析した。それにより、プラットフォーム提供者の戦略と、補完者のイノベーションの発生、およびエコシステム発展との関係性をシミュレーションにより検証した。本成果は、Academy of Management Annual Meetingにおいて採択され、次年度に発表予定である。 後者の観点については、主に消費者側の側面からのアプローチを試み、アンケート調査を実施した。実施件数は、ビデオゲームの消費者が2,000名、宿泊サービスの消費者が500名である。これらの分析結果から、各市場の消費者の嗜好ベクトルが抽出された。成果は現在論文としてまとめており、近日中に投稿予定である。 昨年度から継続していたエージェントシミュレーションの構築については、サービス仲介プラットフォームを中心とした論文が、Journal of Business Ecosystems誌、Sustainability誌に受理・掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度で実施予定であったデータ分析はいくつかの視点から成果を獲得し、論文投稿・掲載に繋げることができている。また、次年度実施予定であった、データ分析を利用したシミュレーションの構築を進捗できており、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で当初の予定通り、あるいは予定以上に研究が進捗しているため、今後も当初予定した通りの研究計画にしたがって進めることを考えている。本年度においては、これまでのデータ分析結果を元にエージェントシミュレーションを構築し、本研究の目的達成を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響による混乱により、納品済みデータの支払い手続きに遅延が生じたため。 既に次年度使用額の大半の分は使用済みであり、支払い手続きを行っている。
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